日本には古くから、「冬ごもり」という言葉がある。 

この「冬ごもり」の実例を挙げるなら、冬の温泉ではないだろうか? 

それを実践したのが、大正時代の文人・大町桂月。 

蔦温泉

青森県・南八甲田の一軒宿『蔦温泉』にすっかり惚れ込み、幾度も訪れては滞在し長期に渡り逗留、やがてこの地を気に入り晩年には本籍まで移してしまう。 

《ここちよさ 何にたとへむ 湯の中の 顔のほてりに 雪のちりくる》 

「冬ごもり」とは、「春」にかかる枕言葉で、万葉集では、「冬ごもり 春さり来れば」などという表現が出てくる。 

ここでいう「冬ごもり」は、熊などが冬眠するような意味ではない。 

「冬が隠れ去って春がやってくる!」という事である。 

冬とは…

「一年の終わり(大晦日)と始まり(元旦)を結ぶ季節で、結び目(新年)のめでたさを祝う季節」 

昔の人は冬を大切に思って生きていた。 

そこから「冬ごもり」という言葉が生まれたのだろう。