独自の「温泉道」をいくドイツ文学者の池内紀さん。
湯水のごとく湧いてはあふれる温泉話を紹介しよう!


養生しに行くんだったら、東北の山の湯がいい。
木の湯船があって、それもちょっと不便なところ。
不便さが、人を選ぶんです。

湯は入る時間によって思いが違いますから、いつでも入浴できるのが肝心です。
到着してすぐは汗を流しに入る。
次は料理をおいしく食べるために夕食前。
寝る前は、ほっとひと息ついて。
だいたい一日5回は入ります。

夜明けの風呂もいい。
夜の闇が消えて朝に移り変わるような時に入っていると、極楽往生の寸前みたいで、お迎えが来たような気持ちになる。

日本人は造形を考えるんです。
絵をつくって、その中に入る。
ふつう裸で森の中にいたらおかしいけれど、周りにお湯があると、何をしたっていい。
生まれたままの姿で外にいられるのは、その装置があるからです。
クマとかイノシシがいるようなところに裸でいる。
これはやっぱり、日本人の考えた面白い温泉のつくり方ですね。

いい温泉に浸かると、8割は疲れが取れます。
町の銭湯だと5割。
家の風呂じゃあ2割しか疲れが取れない。
温泉は、それくらい効果があるんです。

    温泉に文人や俳人が逗留したのは、お湯だけじゃなくて、人から建物から山から、その土地全体の霊魂みたいなものに包み込まれる感じがする。
      そういう力があったからでしょう。
        まさに都市の文化に対するアンチテーゼです。
          結局、温泉全体が文化なんです。


          温泉で、あったまろ~!
          春になったら、おんでぇあんせ。
          待ってるはんでの~(^O^)/