田中幸乃、30歳。

元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪により、彼女は死刑を宣告された。

凶行の背景に何があったのか?

産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がるマスコミ報道の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。


主人公の田中幸乃は、放火犯として、死刑を宣告される

そんな裁判所の風景から物語が始まるのだが…。


物語は、処刑台の階段を一歩ずつ進むように展開する。

圧倒的なやるせなさ。


彼女に関わった人物が過去を回想する形で物語は進んでいき、裁判で述べられた彼女の過去が現実とは全く違うことが、次第に明らかになっていく。


この本は、読みだしたら最後、時間の経過に気が付かないほど没頭する!
そして
田中幸乃の過去が明らかになっていくほど、彼女に肩入れしたくなる気持ちが強くなり、その後の展開が益々不安になっていく。


冒頭、死刑執行日から物語が始まり、彼女が産まれてからの人生が語られ、何気なく読み進めると違和感を感じるようになる。

「判決の内容と、田中幸乃の人生に食い違いがあるのではないか?」

やがて、その違和感が形になって現れてくる。


救いのある結末か?

それとも最悪の結末か?

ラストは、この本を呼んだ人にしか分からない!