函館ストーリー「2人の season」
僕は、ヤフーブログ時代に「シオン」という名前で、函館ストーリーを書いていた。
その時に出会ったのが、今も朗読でお世話になっている美蘭さんである。
「シオン」とは、「紫苑」というキク科の薄紫色の花で、9月に咲く。
カタカナ名の「シオン」は、沢田聖子の名曲である「シオン」という歌のタイトルだ。
美蘭さんのブログで、この「紫苑(シオン)」の記事が掲載された。
https://ameblo.jp/nanaironokazemiran/entry-12703849261.html?frm_src=thumb_module
そこで、僕は「シオン」という名前の女の子が登場する物語を書きたくなり、ぴいなつ先生に相談してみた。
その時、函館が舞台のファンタジックな物語を書きたい!と、意気込んで言ったはずだ…
これが、ぴいなつ先生ならまだしも、なんと言ってもこの僕が書くのだから、ファンタジーなどとは程遠い物語となり、なんとか「シオン」が咲いている内に仕上げようと、無理やり完成させた(^_^;)
美蘭さん、ぴいなつちゃん、お2人に贈る「シオン」の物語である!
函館ストーリー「2人の season」
函館の街が、autumnマジックで色づき始めた。
乾いた秋風が函館山から八幡坂を通り、元町の教会の鐘の音をベイエリアへと届けている。
僕は、赤レンガ倉庫の前で立ち止まった…
僕は、ゆっくりとその名前を口にした。
「シオン」、僕が彼女に付けた名前だ。
出会いは奇跡なのだ!と、誰かの言葉を思い出した…
にもかかわらず、恋愛は時としてスグに別れが訪れることがある。
僕は、昨年の秋に恋をして、クリスマスを過ごし、早春に別れるという短い恋愛をした。
いや、正確に言うなら…
それは、僕の一方的な恋だったのだろう。
在宅でのリモートワークの仕事が終わり、以前のように会社に出勤するようになった、9月。
空いていた僕の正面の席に、一人の女性が座っていた。
アルバイトの大学生だという。
彼女のことは、初めは何も知らなかった…
いつも、やさしく微笑んでいる彼女は、僕にとって99%のミステリアスな女性だったからだ。
僕は、彼女のことを心の中で「シオン」と呼んだ!
紫苑(シオン)、秋に咲く紫色の小さな花で、花言葉 は「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」である。
そう、出会いは奇跡なのだ。
僕の恋愛のボルテージは、夏のように一気に駆け上がり、やがて秋雨前線のように停滞し、そして静かな冬を迎えた。
クリスマスの日、僕はポインセチアの鉢植えを彼女に贈り、彼女は手編みのマフラーを僕にプレゼントしてくれた。
でも…
手編みのマフラーとはいえ、スグに制作できるのだろうか?
僕に出会う前から彼女は誰かのためにマフラーを編んでいたのかもしれない。
そんなモヤモヤした気持ちがあったからなのか、僕の恋愛は短くも儚いものだった。
確かに奇跡の出会いはある。
ただ僕は、それを育む術を知らなかったのだ。
恋愛に季節があるのなら、僕は夏に恋をし、秋を迎え、冬に終わったことになる。
しかし、恋に季節があるのなら僕にだって春が巡ってくるはずだ、自然界の草花が春に花を咲かせるように。
冬に終わった僕の「恋」は「孤悲(こい)」だったようだ…
恋愛には、必ず冬がやってくる。
そんな冬を「孤悲」して偲び、やがて来る春を「待つ」ことが、僕には必要なのだ。
うつむきかげんに冬を過ごし、終わったかに見えた僕の恋は…
待つ春を過ぎ、いつの間にか出会いの秋を再び迎えた。
僕は彼女が待つ、ベイエリアにあるラッキーピエロ・マリーナ末広店のドアを開けた。
アルバイト期間が終わり、大学に戻った彼女とは半年ぶりの再開となる。
「シオン」、僕は小さい声でささやいた。
彼女は、席で毛糸を操っていて、僕には気が付かない。
「シオン」、僕はもう一度小さな声でささやいた。
ようやく僕に気がついた彼女は、僕のマフラーを見て「あっ!」と小さく声をあげた。
「そのマフラーは、自分用に編んでいたものでね、だからところどころ色が変でしょ?ごめんね。でも、どうしてもあなたにマフラーを贈りたかったから…」
僕は、彼女との待ち合わせにクリーニングから上がったばかりの、マフラーを巻いていた。
それは、去年のクリスマスに彼女がプレゼントしてくれた手編みのマフラーだった。
「今年は、お揃いだけど、いい?」
彼女は僕に、はにかみながら聞いてきた。
彼女が編んでいるのはトナカイ柄のマフラーで、クリスマスの日に完成だと教えてくれた。
僕は、イタリアントマトのように顔を真っ赤にして、大きく「うん!」と頷いた。
彼女は、ラキポテを一口食べて「ありがとー!」と微笑んだ。
函館に、もうすぐトナカイのマフラーが似合う季節がやってくる。
END
あとがき…
「美蘭さんがブログで、シオンの記事を書いているよ!」と、ぴいなつちゃんが教えてくれ、僕は美蘭さんの記事に触発され、「シオンという名前の女の子の物語を書きたい!」と、ぴいなつちゃんに相談した。
「函館が舞台のファンタジーにしたい!」と、はからずもそう答え、ぴいなつちゃんから幾通りかのアドバイスをもらったが、僕は「いや、主人公の僕が女の子にシオンというあだ名を付けるのだ」と、わがままを言った。
テーマを「待つ」とし、タイトルを告げ、少ないセリフ部分を伝え、ぴいなつちゃんに監修してもらい、ようやく完成させた!
紫苑(シオン)が咲いている内に、仕上げたいと少々焦りながら書いていたら、なんだかゴチャゴチャした物語となってしまった。
せっかく、ぴいなつちゃんに監修してもらいながら、申し訳ない。
僕の背中を押し函館ストーリーを書くキッカケを作り、朗読をしてくれた、美蘭さん!
新しい函館ストーリーを生み出し、いつもアドバイスをしてくれる、ぴいなつちゃん!
これまでの感謝を込めて、この物語を贈ります…
「美蘭先生、ぴいなつ先生、どうもありがとう!」
ムフフフフ^^
返信削除待ちに待った、シオンの物語!
いやぁ、なんとも繊細に
恋する男心が紡がれていて
なんていうか不思議な感情に包まれた
《確かに奇跡の出会いはある。
ただ僕は、それを育む術を知らなかったのだ。》
ここ、とっても響いた!
育む術というのが、ねー!!
そうなんだよね、恋って多分
盛り上がってうまくいってからが
難しいというか、ねー!
シオンと、密かに呼んでいるのも
かわいらしいし、キュンキュンするし
実際には彼女をシオンと呼んでは
いないのかなぁ?
彼女は、そう呼んでいることは
知らないのかなぁ?とか
得意の妄想がふくらむ^^
マフラーを他の誰かのために
本当は編んでいたのでは?と
モヤモヤしていても
聞けずじまいだった、、、
こういうのって、すごーくわかる
聞けばいいのにって思うかもだけど
意外にこわくて聞けないんだよねー
だけど、2度目の恋の季節に
あっさりと彼女の口から
その真相が明かされて、、、
あー、なんということでしょう
そのモヤモヤも恋の媚薬だったのか^^
ふふふ
読みながら、なんていうか
男心は、女心よりも
とてつもなく繊細なんだろうなぁと
考えさせられたし
この秋から冬にかけての
人恋しい季節にぴったりな
ステキな物語がまた生まれたなぁと
感慨深く、、、
シオンの花言葉って、何度読んでも
ステキだし健気だし深いよね
素晴らしい贈り物をありがとう!
クリオネ先生^^
今回、クリオネ先生の執筆魂に
火をつけてくれた、みらん先生にも
大感謝です♪♪♪
ぴいなつ先生
返信削除監修をありがとうございました。
とはいえ、ほとんど無視して、勝手に突っ走ってしまい申し訳ないですm(__)m
シオン、だけど…
僕が一方的に彼女に「シオン」という名前を付けて、彼女はそんな事は知らない。
まだ、恋人未満なまま彼女は会社を去って行く。
そして、再び会う事になるのだが、彼女はお揃いのトナカイのマフラーを編んでいるのだと、彼に伝える!
これから、本当の恋が始まる。
こんな感じですが、いかがでしょうか?
僕が思うに、女性より男性な方が繊細だと思うよ!
僕の妹は、気が強いですよ、ホントf(^_^;
シオンという女の子のイメージ
返信削除とても可愛くて綺麗です!
誰のために編んでいたか。。。気になりましたよね。
素敵なお話ですね♪
感動しました。
らんらんみらん🌸
美蘭先生
返信削除ありがとうございます。
「シオン」の物語をどーしても書きたくなり、このような結果に(^^ゞ
ぴいなつ先生なら、もっと可愛らしい物語に仕上げるでしょうが、僕にはこれが精一杯。
タイトルの「2人のseason」は、美蘭先生とぴいなつ先生の幸福を願い、そのようにしました。
クリオネ先生^^
返信削除なんども読んでは物語の世界に入っているよ
《冬に終わった僕の「恋」は「孤悲(こい)」だったようだ…
恋愛には、必ず冬がやってくる。
そんな冬を「孤悲」して偲び、やがて来る春を「待つ」ことが、僕には必要なのだ。
うつむきかげんに冬を過ごし、終わったかに見えた僕の恋は…
待つ春を過ぎ、いつの間にか出会いの秋を再び迎えた。》
とても、オトナな表現だし
秋から冬の寒さに耐える
辛抱強さみたいなものを感じて
とてもステキだなぁと思った
シオンって、やっぱり密かに
呼んでいたんだね^^ かわいい!
ぴいなつちゃん
返信削除どうもありがとう!
僕とぴいなつ先生の違いはリアル感なんだよ…
僕のは、無理やりこじつけた感じで長い文章だと
ボロが出る。
ぴいなつ先生のは、セリフや場面展開がリアルなんだ。
本当に函館に居るような錯覚が起きるからね。
僕の函館ストーリーは、詩(ポエム)なんだよ。
だから、セリフが入ったり、長文になると上手く書けない。
今回はより、そう感じたし自分でも分かった。
でもそれは仕方がないことだ、才能の差でもあるし。
いつも褒めてくれて、どうもありがとう!