創作昔話 「甘い言葉に、ご用心!」
創作昔話 『甘い言葉に、ご用心!』
~お小夜キツネ・シリーズ~
ベゴ森と呼ばれる森の中に1匹の若い女キツネが住んでいて、その可愛らしさから村人たちに[お小夜キツネ]と呼ばれていました。
この、[お小夜キツネ]は、とても好奇心が強くて負けず嫌いで、まだ小さい頃に着物姿の女性に化けて、キノコ採りにやって来た甚四朗という男の人を騙そうとして、逆に捕まり「二度と人を騙さないように!」と強く説教され、山へと帰されたのでした。
しかし、負けず嫌いの性格から、「絶対に、村一番の化け方上手になってやる!」と、辛い修行に励み、それはそれは美しい女キツネに成長したのです。
それでは成長した、[お小夜キツネ]の、お話をどうぞ。
ある夏の夕方、馬を曳きながら一人の男が新井田川から土手へと上がってきました。
「さぁ~もう冷えだべ!メドツが出る前に家さ帰ろう…」
と、馬を新井田川で水浴びさせ夕暮れを背に歩いていると、前から美しい娘がやって来て声を掛けてきたのです。
「今晩は、留吉さん。今、お帰りですか?」
「じゃー!おめぇ誰だ?オラ~おまえさんのごど知らないじゃ」
「私は、お小夜という者で、この近くでお店をやっているのです。よろしかったら、お立ち寄りください。お酒をごちそうしますよ」
めっぽう酒が好きな留吉は馬をそこにある立ち木に繋ぐと、お小夜という娘の後を付いて行った。
まもなく、立派な店がそこにあった。
「留吉さん、お酒の準備をしますから、先にお風呂に入ってください。あとで背中を流しますから」
娘が、たいそう風呂を勧めるので留吉は、裸になりドボンと湯船に飛び込むと…
「でったらだ風呂だなぁ~!こったらだに大きがったら泳げるべ?」
留吉は、広いお風呂でごきげんになりイイ気分で、しばらく鼻歌をうたっていました。
そこへ…
「留吉、何やってらっきゃ?おめぇ~、頭いがれだのが?」
留吉は、友達の庄三郎に声を掛けられたのです。
「なんど?」
ハッと我に返った留吉は、辺りを見わたすと田んぼの中で泥まみれになっている自分に気がつきました。
「ハハハッ!おめぇ~お小夜キツネに騙されだな?ハハハハッ」
「じゃー!やられだじゃ」
「したども、お小夜キツネは一番の化がし上手だ、仕方がながんべ」
と、庄三郎は留吉を慰めたのでした。
二人は、すっかり暗くなった夜道を歩きながら、家へと向かいました。
「留吉、おめぇ~眉に唾つけだのが?」
「いや、やってねぇ~」
「したすけ狐に騙されるんだ!夕方や夜に道を歩ぐどぎは、昔がら狐に騙されないように眉に唾をつけだもんだ」
留吉はシュンとなりながら…
「じゃ!わ~馬を置いできたじゃ。さぁ~戻るべ」
「おめぇと違っで、馬は利口だすけ狐に騙されねぇ、先に帰ってらべな!」
庄三郎が大笑いするなか留吉の家に着くと、馬は先に帰っていましたとさ。
こうして、お小夜キツネは夕方になると里へとやって来ては、村の男どもを騙すのでした。
でも、騙される村の男たちは、みんな正直で真面目な者ばかりでした。
それは、お小夜キツネが気持ちの優しいキツネであり、真面目一片の不器用な男たちへの鼓舞でもあったのです。
どっとはれ。
[END]
原作:クリオネ 監修:ぴいなつ
創作昔話 『甘い言葉に、ご用心!』は、お楽しみいただけましたか?
この物語は、『お小夜キツネ』シリーズの第二弾です。
よく…狐に騙されるのは、男の人ばかりだと言われています。
特に、酒に酔っていたり、おっちょこちょいの人が、騙されるそうです。
また、女性や頭の良い人は、騙されないとも言います。
眉に唾をつけるのは、昔から狐や狸に騙されない為の、“オマジナイ”であり、実際に昔は夜道を歩く時や酒を飲んで帰る時などに、眉に唾をつける習慣があったそうです。
真偽の確かでないものを「眉唾物」と表現しますが、この事からきているのでした。
※「メドツ」とは、青森県南部地方の方言で「河童」のことを言います。
《それは、お小夜キツネが気持ちの優しいキツネであり、真面目一片の不器用な男たちへの鼓舞でもあったのです。》
返信削除という締めくくりに、ほっこり^^
騙す騙されるじゃなくて
楽しませるという、お小夜ちゃんなりの
エンタメなのかもしれないね!^^
いやぁ、やっぱりクリオネ先生の
昔話は癒されますなぁ♪♪♪
留吉さんの、憎めないキャラがいいし
庄三郎さんとの掛け合いが、
なんていうか、ほのぼのする^^
お小夜ちゃんは、あれから
根っからの負けん気でここまで
化かし上手になったとは!
相当な努力家さんなのだね(笑)
眉唾ってそんな由来があったんだ!
驚き〜っ!!
懐かしいお話ですね~^^
返信削除お小夜ちゃんは、ほんとうに人間がすきなのですね^^
こんばんは^^
返信削除今年最後のUPになると思います。
動画をアップロードしています...
函館ストーリー「彼女は僕のビタミン」
動画リンク
https://youtu.be/ZCByxGczBsE
あと、20分くらいです。
よろしくお願いします。
みらん先生〜!こんばんは^^
返信削除人間がすきな、お小夜ちゃん
可愛いですよね♪♪♪
騙されても憎めないという気がします(笑)
そして、そして!
なんというサプライズ!!
塩ラーメンちゃんの朗読を!!
さっそく聴かせていただき、
またまた驚いてしまいました!!
ものすごい臨場感!!
すぐそばで、この2人の会話を
聴いているようなリアリティ^^
表情豊かなやり取りが素晴らしく
感動しました〜!!
2020年は、ほんとうに
貴重な経験をさせていただき
感謝の気持ちでいっぱいです!
つづきはまた、クリオネ先生が
みらんさんチャンネルにて
動画アップしてくれたあと
ゆっくりと^^
ぴいなつちゃん
返信削除もともと、この物語は3部作からなっているが…
それぞれが独立した物語で繋がってはいなかった。
今回、「お小夜」という名前を得てようやく前作からの
続きということで編集をすることが出来た。
今回も前回同様にぴいなつちゃんの監修によりそれぞれの
名前を得ることができ、原作の物語も大きく変わることが
でき、こうして続きの物語として作品が生まれた!
ありがとう、ぴいなつ先生。
昔話は、冒頭に「むかしむかし…」から始まり最後に戒めの
意味を伝えて終わる、そのセオリー通りにやってみました。
美蘭さん
返信削除原作は、ご存知の通り名前は同じで繋がりのない物語でした。
前回、ぴいなつちゃんの監修の元で「お小夜キツネ」として
生まれ変わり、美蘭さんの朗読によりこのブログでもNo1の
人気となりました。
そこで、再びぴいなつちゃんの監修の元、前回からの続きとして
新しく再編集をしました。
そして、美蘭さんが既に朗読してくれた物語へと繋げたいと思います。
これで、「お小夜キツネ」3部作をもって完結といたします。
果たして、次作がどのように変わるのか?
まだまだ時間が掛かりますが、どうか美蘭さんのお力添えを
お願いいましますm(_ _)m
函館ストーリー「彼女は僕のビタミン」を朗読してくださり
ありがとうございます!
後で、美蘭チャンネルにてUPいたしますので、その時に改めて
コメントさせていただきます。
ぴいなつ先生♪
返信削除こんばんは^^
ありがとうございます。
温かなぴいなつ先生の雰囲気いっぱいの作品です^^
なかなか画像を選ぶのが難しくて、作品の発表があってから悩んでいました。
「星の王子さま」で、羊でしたっけ。。。?そのものを描くよりも羊のはいっている箱を描くというのがありましたね。
そこで、ラーメン屋さんのフリー素材があったので使用しました。
ほんとうに拙い朗読ですが、褒めていただき嬉しいです^^
終わりの部分は、以前にも朗読した部分で、そこはスラスラとできました。
素敵な作品を ありがとうございました。