湯の川温泉・波乃が舞台の箱館ストーリーですが、今回は麻琴と亮介の物語となります!

そして、本日7/3は私たちの妹・ぴいなつちゃんの誕生日です。

いつもなら文筆堂で麻琴の誕生日をお祝いするのですが、今年はどうやら文筆堂ではそれどころではないようで、一ヶ月もの間バタバタと仕事に追われ、主役の麻琴もなかなか文筆堂に顔を出せないような状況の中、文筆堂ではあるプロジェクトが密かに進んでいたのです…

ぴいなつちゃん(麻琴)の誕生日をお祝いする今回の物語、どうぞお楽しみ下さい!


箱館ストーリー「クリオネ文筆堂・麻琴&亮介の物語」

麻琴と亮介は、尾崎から湯の川温泉旅館・波乃の宿泊券を渡されると、亮介が「せっかくだから麻琴の誕生日に宿泊させてもらいたいです。しかし気を遣わせたくないので、この事は波乃には内緒でお願いします!そして、麻琴にも」と尾崎に伝え、尾崎はそれを了承した。

予約当日の麻琴は、湯の川の温泉が美肌に効くという話に飛びつき、5回も温泉に入ってはのぼせ、夕食を食べすぎて朝食を全部は食べられなかったと悔しがり、「お昼には函太郎・宇賀浦本店へ行く!」と言い、亮介を困らせるのだった…。

 

7月に入り、柊二企画した湯の川温泉のフリーペーパーがようやく完成し、文筆堂に届いた。

大森海岸を見つめる浴衣姿の梨湖の横顔が大きくアップされた表紙は、誰もが目を引く出来栄えで、表紙から続く湯倉神社の紹介記事には、それぞれの場面で梨湖がモデルとして登場している。

そして、湯の川温泉の老舗旅館として波乃が紹介されており、露天風呂での梨湖の入浴シーンに、瞬きもせず釘付けになる栗生姉たちであった。

 

梨湖の写真に大盛り上がりの文筆堂だが、肝心の柊二が冴えない顔をしており、その横で梨湖が心配そうに立っていた。

「麻琴ねぇさん、この度はご迷惑をかけてすみませんでした」

柊二梨湖はそう言うと、麻琴に頭を下げた。

「柊二くん、初めてにしてはよく出来ているよ。特に、梨湖ちゃんの美しさは一見の価値があるよね」

麻琴がフリーペーパーを見ながら、ウンウンと頷く。

柊二は、思った以上にスポンサーが集まらず当初の予算から大きく外れた事により、制作費が足りず後から補填してようやく完成できたことを詫びたのだった。

 

柊二くん、よく頑張ったよ!実際は、さまざまな媒体で既に地元の企業はスポンサーになっているわけだし、今さら新しくフリーペーパーを作るからと言ってもこの不景気だ!おいそれとお金は出してくれないだろう。ましてや湯の川温泉のフリーペーパーとなると、他の観光地域からはそっぽを向かれても仕方がないさ。幸い、大手のスポンサーが付いてくれただけでも良しとしようじゃないか」

そう励ます亮介の隣で、麻琴は栗生姉から口止めされている事を話すべきかどうか悩んでいた。

スポンサー集めが当初の思惑通りには行かず苦労している事で、栗生姉が「ウチが一番の先頭を切ってスポンサーにならないとダメだろ!」、そう言ってクリオネ文筆堂の広告を出している。

しかし、それには尾崎や野本直美、夏妃や康平なども援助している事を柊二も亮介も知らないのだった。

そして、本来なら予算が足りないのだが、麻琴が会社を説得し制作費ギリギリでフリーペーパーを完成させている。

 

柊二と梨湖は、簡単にスポンサーも集まりフリーペーパーも早く出来上がると高を括っていたことを思い知らされた。

思った以上にスポンサーが集まらず、自分たちが大見得を切ったのはいいが、本当にフリーペーパーを作ることが出来るのか?

その焦りから、2人は函館に来てから初めて大喧嘩をしたのだった。

 

そんな事も知らない亮介は、麻琴に黙って「7/3の日に予約したい!」と波乃に予約の電話を入れていた。

その前に、亮介は…

「麻琴、波乃に行くのはしばらくお預けだな!柊二くんの仕事もあるし、秋ごろに落ち着いたら波乃でゆっくりしよう!」

「うん!」と頷く麻琴だったが、少し寂しい気持ちもあった。

いつも文筆堂のメンバーが麻琴の誕生日のお祝いしてくれるが、みんなに負担をかけたくない気持ちから、自分の誕生日の日は波乃の松の間にて亮介とゆっくり過ごしたい。

それが、今の麻琴の夢だったからだ。

 

柊二が企画した湯の川温泉のフリーペーパーの完成が予定より遅れたことで、文筆堂ではバタバタとした状況が続いていた。

メンバーそれぞれが、全面協力して制作に携わっていたが、6月の完成予定から1ヶ月も遅れるとは思ってもみなく、いつもなら栗生姉から「今年の麻琴ちゃんの誕生日はどのような志向でやろうか?」と相談があるのだが、そのような問い掛けもなくメンバーはスポンサー集めに函館市内を周り、主役の麻琴も多くの仕事を抱えて文筆堂へ顔を出せないでいた。

 

そんな中、尾崎は亮介からの「せっかくだから麻琴の誕生日に、波乃に宿泊させてもらいたい。しかしこの事は波乃には内緒で!」という意思を尊重し、野本直美と相談しこのバタバタした状況を好機ととらえ、栗生姉と一緒に麻琴と亮介が波乃でゆっくりとくつろげるように根回していた。

そのためにも、柊二が企画した湯の川温泉のフリーペーパーは是が非でも7/1には完成させなくてはないという栗生姉の焦りもあり、文筆堂では麻琴の誕生日の事も忘れ一貫してフリーペーパーの完成を目指したのだった。

 

7/1にようやく完成したフリーペーパーが文筆堂へ届いた。

麻琴は自分の仕事を後回しにした事もあり、文筆堂にフリーペーパーを届けると直ぐに会社に戻って行ってしまった。

柊二は、みんなに「迷惑をかけた!」と梨湖と2人で、一人一人に頭を下げて詫び、最後に栗生姉が「みんなに話しがある!」と言って口を開いた。

「フリーペーパーが完成した事で柊二くんと梨湖ちゃんにはご苦労さまと言いたい!そして、文筆堂の仕事としてみんなが支え協力しあった事に感謝する。みんな、お疲れ様。ささやかだが飲み物や食べる物を用意してあるので、どうか一休みしながら話しを聞いてくれ」

シーンと静まり返った文筆堂のサロンでは、誰も口を開くことなく黙って栗生姉の言葉を待っていた。

入り口には、いつの間にか臨時休業の張り紙が貼られている。

 

「みんなには黙っていたが、7/3は麻琴ちゃんの誕生日だ!いつもなら、ここで麻琴ちゃんの誕生日会をやるのだが、今回は亮介くんから尾崎先生に《せっかくだから麻琴の誕生日に、波乃に宿泊させてもらいたい!》という話があったそうだ。麻琴ちゃんも自分の仕事を後回しにして、フリーペーパーの仕事をしてくれた。波乃に行った人なら分かると思うが、それぞれが人生の転換期ともいえる経験をしている。ちょうど麻琴ちゃんの誕生日なら亮介くんと2人で、のんびりと波乃の松の間にて過ごしてほしい、そうだろ?僕らが麻琴ちゃんをお祝いするのは波乃から戻ってからにしよう。ちょうどフリーペーパーも完成したから、麻琴ちゃんと柊二くんと梨湖ちゃんに波乃や湯の川温泉組合にフリーペーパーを持って行ってもらおう。そこで、波乃には亮介くんが先に行って麻琴ちゃんを待っているという段取りだ!その後は、麻琴ちゃんたち2人にゆっくりとのんびりと休んでもらおう。それが今回の麻琴ちゃんの誕生日のお祝いだ。僕らは、手分けしてフリーペーパーを市内の主なところに置いてもらい、波乃から帰って来る麻琴ちゃんを待って、改めて文筆堂で麻琴ちゃんの誕生日のお祝いをしよう!こうしてフリーペーパーが完成したのも麻琴ちゃんのおかげだ。これからも、何か新しいことをしようとすると今回のように途中で立ち止まる事が出て来るだろう。しかし、今回の経験を元にその時はまた皆で協力して頑張ろう。これこそが文筆堂なんだよ!」

栗生姉の熱弁に、メンバー全員が大きく頷くのだった。

 

亮介は、栗生姉の後に立ち上がり、深々と頭を下げた。

「みんな、いつもありがとう!栗生姉さん、麻琴のためにわざわざ誕生日会までやってもらえるなんて、本当に麻琴は幸せものだ。でも、今回の湯の川温泉のフリーペーパーは柊二くんと梨湖ちゃんだからこそ出来たものだ。決して麻琴一人の力ではない。そして、文筆堂のみんなが最後まで協力して完成させたものだ。直美ちゃんや尾崎先生に頼らず、みんなで成し遂げた文筆堂として初めての大きな仕事だ!これが始まりで、フリーペーパーはまだまだ続く。これからが本当に大変だと思う。今日は、直美ちゃんと尾崎先生は波乃に行って、みのりちゃんと一緒に僕らが宿泊する7/3の日の打ち合わせをしてくれている。ありがたいことだよ。主役の麻琴は、今日も仕事に追われて7/3以降じゃないと文筆堂には来れないと言っていた。夏妃ちゃんと康平さんは、麻琴への誕生日プレゼントを選びに行ってくれているというし、みんなには何とお礼を言えばいいのか?僕には上手く言えなくて、すまん。とにかく、こうしてフリーペーパーも出来たことだし、波乃の皆さんや、湯の川温泉や観光客の人たちがフリーペーパーを手に取り、少しでも喜び楽しんでくれるように祈ろう。みんな本当にありがとう!柊二くんと梨湖ちゃん、ご苦労さま。奏ちゃんや拓也くん、冬果ちゃんに亜弓ちゃん、学校が忙しいのによくぞ手伝ってくれた。それでこそ、文筆堂の仲間だ」

 

柊二と梨湖は、栗生姉と亮介に「ご苦労さま!」とねぎらいの言葉をいただきながらも、どうにもモヤモヤした気持ちでいた。

それでも、実際に製本されたフリーペーパー「湯の川温泉・漁り火便り」を手に取ると胸の奥が熱くあるのであった。

表紙をめくると《電車の終着駅は、温泉郷》という見出しがあり、続いて…

《市電・湯の川温泉電停から歩いて数分にある湯の川温泉は、北海道三大温泉の一つにも指定されている400年もの歴史を持つ古湯で、かつては箱館戦争で負傷した兵士も傷を癒やした名湯であり、幻想的な漁り火を見ながら旅の疲れを流すことができます》

という案内文が目を引くのだった。

これは、野本直美が書いたもので、監修は尾崎先生である。

 

波乃を訪れている尾崎と野本直美は、女将である松原ちなみと娘の松原みのりに、湯の川温泉のフリーペーパーが完成したと伝えた。

そして、素直に完成までの経緯を話し、文筆堂のメンバーが一丸となって作り上げたことを説明し、7/3に麻琴が持って来ることを話していた。

「尾崎先生、直美ねぇさん!私は、今回は何も手伝えずにすみませんでした。冬果ちゃんや亜弓ちゃんから聞きました。それなのに、私は…」

すかさず、松原みのりがそう言って謝罪したが、野本直美が言葉を遮るように松原みのりの背を優しくポンポンと叩いていた。

 

「みのりちゃん、僕の言いつけ通り波乃の手伝いをしてくれてありがとう!これまで、文筆堂のメンバーを迎えておもてなしをしてくれた波乃の皆さんには、いつも以上に気を遣い緊張したことだろう。本来の業務とはかけ離れた仕事をしてきたのだ。今回は、波乃の若女将としてではなく、文筆堂の松原みのりとして波乃を手伝うようにと僕がお願いしたのだよ。もちろん、この事は文筆堂のメンバーみんなが知っているし賛成している。波乃の手伝いを出来るのは、みのりちゃんしかいないのだよ。それに、みのりちゃんにはまだ大事な仕事が残っている。7/3の麻琴ちゃんの誕生日だ!夫である亮介くんから、《せっかくだから麻琴の誕生日に、波乃に宿泊させてもらいたい!》と僕に相談があった。いつもなら、文筆堂のサロンで麻琴ちゃんの誕生日会を開くのが恒例となっていたが、フリーペーパーの制作が上手くいかず、麻琴ちゃんは自分の仕事を差し置いてようやく完成することが出来た。そんな麻琴ちゃんの労をねぎらう意味と、実は麻琴ちゃんからも《いつも文筆堂のメンバーが誕生日のお祝いしてくれるが、みんなに負担をかけたくないから、自分の誕生日の日は波乃で亮介さんとゆっくり過ごしたい》という相談を受けていたのだよ。そんな折に、フリーペーパーの制作が行き詰まり、文筆堂でも麻琴ちゃんの誕生日会どころではなくなったので栗生姉さんに相談して、だったら麻琴ちゃんの誕生日会は2人が波乃から帰って来た時に文筆堂で、みんなでお迎えしてお祝いをしようと決めたのだよ。亮介くんからは、《この事は麻琴には内緒で、波乃にも麻琴が誕生日だとは伝えないでほしい》と言われている。だから、7/3は麻琴ちゃんが何も知らずにフリーペーパーを柊二くんと梨湖ちゃんと一緒に持って来る。途中で柊二くんと梨湖ちゃんは温泉組合に行くので、麻琴ちゃんが1人でやって来る。そして先に来ていた亮介くんと出会うという段取りだ。女将さん勝手なお願いで申し訳ないのですが、どうかご協力をお願いしたいのです」

そう言うと、尾崎と野本直美は深い座礼をした。

 

松原ちなみは、頬を流れる涙をハンカチでおさえると、松原みのりと共に深く座礼してから口を開いた。

「尾崎先生、野本直美様。7/3の里中亮介様と里中麻琴様のお誕生日のご予約、しかと承りました。また、波乃として松原みのりの母親として里中麻琴様だからという特別なはからいはせず、これまで通りの文筆堂の皆さんへのおもてなしと感謝の心でお迎えさせていただきます。私どもには、誰か1人だけ特別におもてなしをする事は出来ません。みのりは皆さんに可愛がっていただき、たくさん勉強させていただいているのです。感謝の気持ちは、文筆堂のみなさまには同じであり、こうして波乃に来ていただけるだけでありがたいのです。ただ、食後のデザートだけは私どもからも里中麻琴様のお誕生日をお祝いさせていただきたいので、バースデーケーキをご用意させていただきます。デザートの職人が腕によりをかけ、つくらせていただきます」

そう言うと、女将の松原ちなみは一礼し、キリリと表情を引き締めた。

 

「尾崎様、先ほど娘のみのりや波乃に対して、もったいないお言葉をいただき感謝の気持ちを言葉にすることが出来ません。なんと慈悲深いのでしょうか。それほどまでにお心をいただき深い優しさに触れ、本当に何と申せばいいのでしょうか?女将として大変失礼ではありますが、せめて里中様のご宿泊の際には誠心誠意お迎えさせていただきます。また、娘みのりに対していつも温かく見守っていただきありがとうございます。これからも松原みのりをどうぞ宜しくお願い申し上げます」

涙声で、何度も頭を下げながら話す母親であり女将の松原ちなみを、娘である松原みのりは真剣な表情でジッと見ていた。

松の間ではないロビーでのやり取りでの事から、波乃の従業員も遠巻きに見守っており涙ぐみながらも、晴れ晴れとした気持ちで笑顔になりそれぞれの職場へと去って行った。

これは、尾崎からの申し出でロビーでの面会となり、野本直美は尾崎がわざと松の間を避けたことを理解していた。

松原親子と波乃の従業員との人間性の向上を目的としていて、尾崎でなければ出来ないことであり、「文筆堂のみんなにも見せたかったな」と思う、野本直美であった。

 

フリーペーパーは、ちょうど昼過ぎに麻琴と亮介が文筆堂へと車で運んでいる。

平日の午後であり、麻琴は柊二と梨湖に二言三言の話しをすると、直ぐに会社へと戻って行き、麻琴の姿が見えなくなるまで、柊二と梨湖は黙って後ろ姿を見送っていた。

栗生姉と亮介はフリーペーパーを確認した後に、どのように函館市内に配布するかを相談していた。

野本直美は、栗生姉から「飲み物と軽く食べられる物を買って来てほしい」と頼まれ買い出しに行っており、ちょうど大学が午後は休講になった奏太朗が途中で加わり荷物を文筆堂へと運んでいて、野本直美は尾崎の仕事が終わるのを待ち、湯の川温泉旅館・波乃へと向かった。

夏妃と康平は、麻琴への誕生日プレゼントを選びに五稜郭にある丸井今井デパートに朝から来ていた。

夏妃が栗生姉に「麻琴ちゃんへの誕生日プレゼントは私に任せほしい!」と伝え、康平と一緒に店の開店と同時に来ていたが、夏妃が納得する物が見つからず夜まであちこち巡ったが翌日まで持ち越しとなった。

冬果と青田亜弓、桐山拓也は学校が終わると十字街電停前で待ち合わせて、文筆堂へと向かい、出来上がったばかりのフリーペーパーを目にしている。

 

麻琴は亮介に「遅くなるかも!」と短いLINEを送ると、直ぐに亮介から、「お疲れ様。こっちも遅くなるから、やきとり弁当を買って帰る」と返事があった。

麻琴は「やきとり弁当!久しぶりだな、ついでにやきとりを単品で何本か買って来て」と、またLINEを送ると既読後の「OK!」の亮介からの返事を確認し、「やきとり弁当♪やきとり弁当♪」と鼻歌を唄いながら、疲れが飛んだような爽やかな笑顔で仕事を再開した。

 

翌日、文筆堂では朝から栗生姉と康平、野本直美と亮介が市内に配布するフリーペーパーを仕分けしていた。

夏妃は有給休暇を取って1人で朝から麻琴の誕生日プレゼントを選びに行っており、柊二と梨湖は、さっそく観光協会や函館駅の観光案内所など主だった観光施設を周り、フリーペーパーを置いてもらえるようにとお願いして歩いていた。

夕方になると、仕事が終わった尾崎や大学生の奏太朗、冬果や青田亜弓、桐山拓也が文筆堂に来て、フリーペーパーの仕分けを手伝っている。

松原みのりは、尾崎から「7/3まで、波乃の仕事を手伝うように!」と言われており、その言いつけを守り学校が終わってから仲居の仕事を手伝っていた。

 

麻琴は、亮介から…

3日の日にフリーペーパーを波乃や温泉組合に柊二くんと梨湖ちゃんが持って行くので、手伝ってほしい!その日から市内へ配布する事が決まって、みんなが手伝う事になっている。奏ちゃんや冬果ちゃん達も学校が終わってから、いつも手伝いに来ているよ。みんな忙しい中、頑張ってくれている。一通り終わったら夜にでも、麻琴の誕生日のお祝いをしよう!寂しいだろうけどみんな忙しいし、負担をかけたくないからね」

と話しがあり、みんながフリーペーパーの仕分けなど毎日遅くまで仕事をしていて、自分はぜんぜん手伝ってもいないと申し訳ない気持ちでいて、3日の日は休みをもらったのでそれまでに仕事を片付け、誰よりも早く文筆堂に行くのだと決心するのだった。

 

7/3当日、文筆堂には臨時休業の張り紙があり朝から慌ただしい雰囲気の中、麻琴は今日まで来れなかった事をみんなに詫びた。

柊二と梨湖は、波乃や温泉組合に持って行くフリーペーパーの準備に追われており、栗生姉はフリーペーパーに関する問い合わせの電話に追われ、「おい、また追加だぞ!」と笑顔で叫んでいる。

野本直美と康平は、ランチの買い出しにラッキーピエロ・ベイエリア本店に行っていた。

亮介と夏妃は仕事が忙しく朝早くから家を出ていて、麻琴は1人だけ取り残されたような寂しい気持ちでラッキーエッグバーガーを食べ、ラキポテをつまんでいた。

ちょうど、みんながラッピのハンバーガーを食べ終わる頃、柊二と梨湖が麻琴のところにやって来て声を掛けてきた。

「麻琴ねぇさん、準備が出来たのでそろそろ行きませんか?すみませんが、温泉組合から次回の打ち合わせをしたいと言われているので、先に波乃で麻琴ねぇさんを降ろすのでフリーペーパーを届けてほしいのです。そして、女将さんに説明しておいてくれますか?温泉組合から直ぐに梨湖が戻りますから」

と言われ、「分かった!」とうなずく麻琴であった。

 

「では、行ってきます!」

柊二と梨湖はそう言うと、栗生姉が受話器を片手に手を上げていた。

「柊二にいさん、梨湖ちゃん、麻琴ねぇさん!お願いします」

野本直美が声をかけると、隣で康平が手を上げた。

亮介と夏妃、尾崎と奏太朗や冬果たちはそれぞれ夕方には文筆堂へやって来るという。

しばらく文筆堂を休んでいた、松原みのりも学校から駆けつける事になっており、みんなが久しぶりに文筆堂に集まるのだ!こんな素敵なことはない、それも私の誕生日に大好きなみんなに会える。

「仕事、頑張って良かった!」

麻琴は、しみじみと思っていた。


柊二運転する車は市電通りを避け、大森海岸沿いを湯の川温泉方面へと走っていった。

梨湖が後部座席に乗っている麻琴に話しかけてくるが、麻琴は梨湖の話しは上の空で窓から見える大森海岸を見つめていた。

柊二が企画した湯の川温泉のフリーペーパーは、これまでのゴタゴタを忘れさせるように、評判が良く問い合わせが殺到していると聞き、麻琴はホッと胸をなで下ろし、ちょうど啄木小公園に差し掛かった時に、「啄木さん、どうか湯の川温泉をみのりちゃん親子や旅館・波乃を見守って下さい」と心からそう唱えていた。

 

車が旅館・波乃に到着すると女将である松原ちなみと従業員数人が、玄関から出て来た。

梨湖が「麻琴ねぇさん、この方が女将さんでみのりちゃんのお母様の松原ちなみさんです!こちらが、文筆堂の里中麻琴さんです。この湯の川温泉のフリーペーパーを制作してくださいました」と紹介した。

松原ちなみと麻琴が挨拶している横で、波乃の従業員は車からフリーペーパーを下ろしている。

「立ち話もなんですから、どうぞこちらに…」

松原ちなみが麻琴に声をかけると、すかさず梨湖も声をかける。

「麻琴ねぇさん!フリーペーパーは下ろし終わったので、私は柊二と一緒に温泉組合に行きますね。後は、お願いします。直ぐに戻って来ますので、女将さんどうぞ湯の川温泉のフリーペーパーをお納め下さい」

そう言うと梨湖は深々と頭を下げて、出て行った。

 

麻琴は緊張したまま、松原ちなみの後を付いて行くと松の間まで案内され、松原ちなみが「失礼いたします!」と正座して襖を開けるので麻琴は一礼してから中へと入った。

「麻琴、お疲れ様!」

いきなり声がしたので驚き顔を上げると、そこには亮介が座椅子に座っていた。

「えっ、亮介さん?」

驚いた麻琴は、キョロキョロと松原ちなみと亮介の顔を交互に見つめるのだった。

 

柊二梨湖は、湯の川温泉組合にフリーペーパーを納めると、そのまま湯倉神社へと向かいフリーペーパーが無事に完成した事や既に好評を得ている事を神前に報告した。

お参りが済むと、「柊二!」と梨湖が抱きつき、胸の中で涙を流した。

これまでの苦労を振り返り、今日ようやく波乃にフリーペーパーを納める事が出来た喜びは、2人がお互い強く抱き合うことで十分だった。

観光客が2人を冷やかすように見つめ遠ざかる中、いつまでもそのままでいた。

 

「麻琴、今日は誕生日だろ?尾崎先生に相談して、今日は2人で波乃に宿泊できるように段取りをお願いしたのさ。それに栗生姉さんや文筆堂のみんなが、フリーペーパーの完成と麻琴の誕生日を波乃で迎えられるようにと、協力してくれたんだよ。柊二くんと梨湖ちゃんは、温泉組合にフリーペーパーを届けたら、そのまま文筆堂へ行く事になっている。もちろん、みのりちゃんや女将さん、波乃の皆さんも協力してくれた。これも、麻琴がいつも自分のことだけでなく文筆堂の仕事をしっかりとやっているからこそなんだよ。今日こうして波乃に宿泊できるのは、みんなのおかげだ!この日この時を、僕らはいつまでも胸に刻んでおこう」

亮介の言葉に、麻琴は涙ぐみながらも、ウンウンと大きく頷くのだった。

 

やがて、「失礼いたします!女将さん、お茶をお持ちしました」と仲居がお茶を運んで来た。

さっきまで涙ぐんでいた麻琴は、千秋庵の和フィナンシェを見るとパッと顔を明るくし目を輝かせた。

麻琴にとっては、夢にまで見た和フィナンシェである。

千秋庵のお店に行けばいつでも食べられるのだが、「波乃に行って食べたい!」

波乃の松の間にて食べるのが、麻琴の仕事の糧になっていたのだった。

行儀悪く両手で持って食べたいのをグッとガマンして、麻琴はお茶のお代りをした。

特別に、麻琴には和フィナンシェが多く出されていたのだった。

 

ようやくお互いが落ち着いた頃合いを見て、女将である松原ちなみが亮介と麻琴に対して深々と座礼をして、娘の松原みのりへの感謝の言葉を述べた。

丁寧な言葉でささやかれる松原ちなみの言葉に、すっかり恐縮してしまった亮介と麻琴だった。

特に亮介は、自分はあまり文筆堂には行っていないし仕事もしていないと語り、それでも毎日のように語られる麻琴からの文筆堂メンバーの話しを聞くのがいつも楽しみなのだと話し、《みのりちゃんは、本当に良く頑張ってくれている!》と、みんながそう言っているのだと伝えると、思わず顔をほころばせる松原ちなみであった。

 

麻琴は、野本直美と尾崎が岩手に帰ると言ったころの、文筆堂での騒動を話した。

麻琴にとって妹ともいえる野本直美を自分が傷つけたこと、いくらショックだったとはいえ野本直美や尾崎先生に対して「嫌い!」と言った自分の感情が今でも許せないことを涙ながらに語り、誰もが野本直美や尾崎先生が岩手へ帰るかもしれないと落ち込んでいる中、松原みのり1人が2人を信じて、絶対に函館に引き止める!みんなが岩手へ帰ることを賛成しても自分ひとりでも止める、それでも岩手へ行くなら一緒に付いて行く!と言った、松原みのりの一言が、野本直美や尾崎の心だけでなく、みんなの気持ちを一体化させたのだと伝えた。

「あの時、松原みのりが居なかったら?あの一言がなかったら、文筆堂のみんなはバラバラになっていた」

それほどまでに松原みのりの存在は大きく、文筆堂にとっても函館の未来にとっても、松原みのりは大きく貢献していくだろうと語った。

さすがの松原ちなみも、ハンカチを握りしめたまま涙を拭おうともせず、何度も「ありがとうございます!」と頭を下げるのだった。

 

そんなやり取りがされているのも知らずに、松原みのりは市電を下りると、波乃へと真っ直ぐに走っていた。

麻琴が波乃へと来てくれた事への嬉しさと、フリーペーパー「湯の川温泉・漁り火便り」を早く見たいと思っていて松原みのりは足を急がせる。

尾崎から、「波乃の手伝いをするように!」と言われ、今回のフリーペーパーの制作に自分が参加できなかったのが悔しくて、何度も野本直美に「手伝わせてほしい!」と頼んだのだが、野本直美からは厳しい返事があり、ずっとガマンしていたのである。

実は、波乃の松の間にて梨湖をモデルに撮影するというのは柊二から聞かされていたが、旅館・波乃が紹介されていることは知らされておらず、松原ちなみや波乃の従業員、そして松原みのりは今日、初めてその事を知ったのであった。

 

「麻琴ねぇさん!亮介にいさん!いらっしゃいませ」

松の間に制服姿で飛び込んで来た松原みのりに、松原ちなみは一喝した!

「みのり、その挨拶は何なの?お客様に失礼でしょ!今すぐ着替えて挨拶をやり直しなさい。里中様、誠に申し訳ございません。躾がなっておりませんでした。ご無礼をお許しくださいませ」

松原ちなみはそう言うと、松原みのりと一緒に深々と座礼してお詫びした。

若い仲居が「失礼します!」と言って声をかけ、松原みのりを連れ出した。

 

麻琴は、満面の笑みを浮かべながら、松原みのりは尾崎の言いつけを守り、フリーペーパーの制作には一度も参加させてもらえず悔しかったのだと話した。

責任感の強い松原みのりにとって、自分ひとりだけが参加できず、文筆堂へも立ち入る事を尾崎が許さず、それでも松原みのりは腐らずに波乃の仕事を手伝っていたはずだと伝えた。

「女将さん、いえお母様。みのりちゃんはどうですか?将来の女将としての自覚が芽生えているのを尾崎先生は見逃さず、あえてお家の手伝いをさせたのです。私たち文筆堂のメンバーは波乃の訪れるたびに、それぞれがこれから自分がやるべきことを見つけ、一回り大きくなって文筆堂に戻って来ています。これも女将さんや波乃のみなさんのおかげです。しかし、みのりちゃんは私たちにおもてなしをする側です。だから尾崎先生は、あえてみのりちゃんに厳しい試練を与えた。将来の女将としてみのりちゃんにはこの経験が必要だったのです」

そう言うと、麻琴はニッコリと微笑み亮介を見ると、「亮介さん、出番ですよ!」と言った。

 

一旦、松の間に運び込まれたフリーペーパーだが、亮介の一言でその一部をロビーへと運び出し、そこでフリーペーパーのお披露目をした。

松原親子と、波乃の従業員の前でフリーペーパー「湯の川温泉・漁り火便り」が示され、湯倉神社の紹介のページが終わると、旅館・波乃の紹介記事となり松の間や露天風呂などでくつろぐ梨湖の姿に、男性従業員からは歓声が上がった。

松原みのりは亮介の言葉も耳には入らないようで、真剣な表情で熱心にページを捲っている。

「みのりちゃん!みのりちゃん!」

麻琴の声がけにハッと我に返った、松原みのりは「すみません!」と言って頭を下げた。

「みのりちゃん、おかげさまでフリーペーパーは一部のところで品切れになるほどの人気なのよ!そして第2号の制作は、直美ちゃんとみのりちゃんが担当なの。コレ以上の物を作らないといけない!頼んだわよ、副編集長の松原みのりさん」

最後は大きくウインクする麻琴の言葉に、歓声と共に大きな拍手が起こった。

さっそく波乃のフロントやロビーにはフリーペーパーが置かれ、大きな表紙のポスターはロビーの壁に貼られた。

 

そして、松原みのりの案内で亮介と麻琴はそれぞれ、大浴場や露天風呂にて自慢の温泉を楽しんだ。

「麻琴ねぇさん!ここは自家源泉で温泉のpHも高く、とてもお肌に良いお湯なんです」

大浴場に麻琴を案内した松原みのりの説明に、麻琴が飛びつき目を輝かせたのは言うまでもない。

亮介が心配するのを尻目に、麻琴はチェックアウトのギリギリまで風呂に入りのぼせては、亮介を困らせた。

 

松の間での夕飯は、亮介も麻琴も目を見張る豪華さで、麻琴は食べ過ぎて翌日の朝食を半分しか食べれず悔しがっていた。

デザート担当の調理師が作った麻琴の誕生日ケーキは、波乃らしい派手さはないシンプルなケーキであったが、一つ一つの吟味された素材を活かした一品で、麻琴は「こんな美味しいケーキを食べたことがない!」と感動しまくりだった。

そして、その後はお腹をおさえては「苦しい!亮介さん胃薬ちょうだい」という始末で、亮介はヤレヤレと頭を振っていた。

 

夕飯が落ち着いた頃、女将の松原ちなみと松原みのりが、松の間へとやって来た。

「麻琴ねぇさん!これは私からの、お誕生日プレゼントです」

松原みのりから、そう言って手渡されたのは湯倉神社の御朱印で、特別に作られたものだった。

ブルーの下地に、湯倉神社のうさぎの意匠と湯の川温泉の花火をモチーフにした特別な御朱印は、夫婦円満の願いが込められており、麻琴と亮介はうっとりと眺めていた。

そして、女将の松原ちなみからは波乃の温泉入浴券が渡された。

 

温泉に入りようやくお腹も落ち着いた麻琴は、亮介にお礼の言葉を伝えた。

「亮介さん、ありがとう!まさか、誕生日に波乃に宿泊できるなんて思ってもみなかった。でも、この日のためにみんなが協力してくれたんだよね。どうやってお返ししたらいいのかな?私、いつも自分から何かをしようとしても空回りしちゃうし。アイデアを出すのは得意なんだけど()でも、いつも文筆堂でみんなから誕生日のお祝いをしてもらって、だからこそ今回のフリーペーパーは私が出来る恩返しだと思ったよ。完成まで、いろいろと大変だったけど文筆堂のみんなで作り上げた喜びは、一生忘れないだろうな!みんなも、きっとそう思っていると信じている。だって、初めてクリオネ文筆堂としてやった仕事だよ。尾崎先生や直美ちゃんやみのりちゃんの想いが、こうして形になったんだよね。とっても素敵!これから第二第三と続き、やがては湯の川温泉から函館の各観光エリアまで広がるんでしょ?柊二くんや梨湖ちゃんだからこそ出来た企画だよね。これがキッカケで本当の意味で文筆堂は一つになれたと思う。直美ちゃんと尾崎先生が函館に残って良かったと、きっと思ってくれているよね?そうでしょ亮介さん!とても立派な仕事をしたよ、2人を褒めなきゃ。それに、こうして2人きりでのんびりと出来るのはいつぐらいかな?亮介さんが函館に戻って来て以来かも、私たち式を挙げたけど披露宴とかしていなかったね。でも、こうして亮介さんと波乃に宿泊できるだけで、もう胸がいっぱいだよ!ありがとう、亮介さん」

麻琴はそう言うと、亮介の頬に優しく手を添えて見つめ、静かに唇を合わせた。

 

翌朝、「お腹をすかせる!」と言って麻琴は、朝早くからジョギングに出掛けたり朝風呂に入ったりしたが、松の間に運ばれた豪華な朝御膳に目を見開きながらも、懸命に食べていたが翌日のケーキが残っていたのか全てを食べ切れずに悔しがった。

給仕の手伝いをしていた松原みのりは、麻琴の様子を見て「とっても、麻琴ねぇさんらしいですよ」と言って笑っていた。

亮介は「みのりちゃん、写真を撮っておいたから後でみんなに見せていいよ」と言うと、麻琴はお腹をおさえて、「亮介さん、お昼は函太郎だからね!」と言うのだった。

 

チェックアウトのギリギリまで温泉から出て来ない麻琴に亮介がハラハラしながらも、2人は身支度をして、女将の松原ちなみと波乃の従業員から挨拶を受けた。

そして、松原みのりは一足先に学校へと行っており、松原ちなみが娘から預かったと、麻琴に手紙を渡した。

麻琴がその場で手紙を開き涙ぐんでしまい、亮介が麻琴に代わって挨拶をした。

 

「女将さん、波乃のみなさん!本日は、麻琴のために私たちのために心尽くしのお祝いとおもてなしをありがとうございます。実は麻琴には内緒で、尾崎先生に相談して今回の宿泊の予約をさせてもらいました。私たちは、函館でずっとすれ違いの人生でした。自分の仕事を追いかけ麻琴には結婚をずっと待ってもらい、2人の仲ももう終わりという時に僕が札幌から函館へと戻り、仕事仲間が麻琴の誕生日をお祝いしてくれるその時に、無理やり麻琴を連れ出しブルームーンの船上でようやくプロポーズしました。あの頃の僕は、仕事という大きな夢を掴むまではなりふり構わず前に進むのが、男の美学だと思っていました。そのためには女性は待って当たり前、それが女の仕事だと思っていたのです。しかし5年もの間、無我夢中でやって来た仕事とは別に、大事なことを見つけたのです。それが麻琴であり、社会における女性の役割です。文筆堂には既にみなさんご存知の、野本直美と三井梨湖。みのりちゃんと同級の小松冬果と青田亜弓。そして、ここにいる里中麻琴と細谷夏妃という素晴らしい女性たちがいます。今回、私たちはみのりちゃんや女将さん、そして波乃のみなさんへの感謝の気持ちと、函館の未来へと夢をつなぐ意味で、湯の川温泉のフリーペーパーを作りたい!という気持ちで一つにまとまり、ようやくこの一大プロジェクトを成し遂げました。既にたくさんの問い合せが文筆堂に来ているとリーダーの栗生姉から聞いております。この後は、みのりちゃんと野本直美が中心となり、フリーペーパー「湯の川温泉・漁り火便り」の制作が行われます。波乃のみなさんも文筆堂の仲間です!どうぞお休みのときは、文筆堂に遊びに来て下さい!波乃のようなおもてなしは出来ませんが、みのりちゃんが文筆堂で頑張っている姿を見てほしいのです。これからの文筆堂は、みのりちゃんと野本直美が中心となって仕事をして行くでしょう。私たちもこれまで以上に全力で支えますが、どうか皆さんのお力をお貸し下さい。今、みのりちゃんは私たちの背を踏んで大きく羽ばたこうとしています。私たち文筆堂のメンバーは1人も欠けることなくみのりちゃんを支えますが、皆さんもみのりちゃんを支えて下さい。どうか宜しくお願い致します」

深々と頭を下げる亮介の横で、ついに泣き出した麻琴はいつまでも頭を下げ続けた。

 

顔を手で覆い涙を流す、女将の松原ちなみに代わり仲居頭が前に出て、深い立ち礼をした。

「これまで、文筆堂の皆さんを迎えさせていただき、私たちは今まで経験したことのないような感動でいっぱいです。若女将のみのりさんが皆さんにどれだけ愛されているのか、そしてこんなにも素晴らしい女性に成長したのかと、私たちは毎日のように話しています。正直、旦那様が亡くなりコロナ禍を経て、波乃はどうなるのか?と心配しました。苦渋の決断で、波乃はコロナ禍で数年お休みしました。その間に、「大丈夫ですか?コロナが落ち着いたら真っ先に泊まりに行きます」というお客様からの励ましのお手紙をいただき、私たちはこうして乗り越えてきました。でも、一抹の不安がありました。このまま廃業するのでは?という悪い噂もありました。しかし、女将さんの厳しい態度にも若女将は涙一つ見せませんでした。あまりにも若女将に厳しすぎると女将に苦言を申した時、若女将は《私が悪いのだから、女将さんにそんな事を言わないで下さい》と言うと、一生懸命に仕事をしていました。学校も長く休校だったので、男性従業員に混じり風呂掃除までして汗を流していました。私たちが何度もやめるように言っても、毎日《今日は何をすればいいですか?と訪ねてきて、やがて自ら仕事を探して朝から夜まで働いていました。お父様が亡くなりコロナでお友達とも会えず、どんなに寂しい思いをしたのでしょう。ようやくコロナが落ち着き、お客さも戻り再び波乃も湯の川温泉も活気を取り戻した頃でした、若女将はボーイフレンドができたと、一番若い仲居にそう言っていたそうです。私たちは、ようやく女子高生らしい笑顔を見て安心し嬉しく思っていました。しばらくは2人の仲が良かったようですが、相手が若女将が波乃の一人娘だと知ると離れていったそうです。格式高い老舗旅館の一人娘で将来は女将なるべき女性。そう思われても仕方がない、そんな雰囲気でした。女将さんは、将来は女将にならなくても良いと伝えたそうですが、若女将の中には旦那様がお亡くなりになられてから、自分が女将を支えるんだという気持ちが大きくなったのだと思います。そんな折、文筆堂に初めて行った帰り、これまで見たことのないような素敵な笑顔で私たちにも《今日ね、元町にあるクリオネ文筆堂というお店で、とても素敵な人たちに会ったの。とっても素晴らしい人たち。みんなが真剣に函館の未来を心配して自分たちで何かやれる事はないか?と意見を出し合っていた。なかでも、野本直美さんと尾崎先生という方は岩手の人なんだけど、石川啄木の夢をついで函館に骨を埋める覚悟をしているんだって?とても感動して泣いちゃった。こんな経験は一生に一度のような気がする!こんな私を、文筆堂の仲間として迎え入れてくれたんだよ。同級の女の子も居てお友達になったよ》と、話してくれました。どうか、若女将をこれからも宜しくお願い致します。そして、私たちもこれからは文筆堂の皆さんと一緒にお仕事をさせていただきます。そうですよね、女将さん!従業員の皆さんもいいですね」

仲居頭がそう言うと大きな拍手が起こり、女将である松原ちなみは何度も麻琴や亮介、従業員へと頭を下げるのだった。

 

感動のフィナーレとなった波乃での別れに、いつまでも胸がいっぱいの亮介と麻琴だったが、大森海岸沿いを走るバスの車窓から石川啄木の坐像を見つけると、さらにジーンと胸が熱くなった。

その場所は、野本直美と尾崎が再び函館で暮らすことを誓った場所であり、文筆堂のメンバーにはまさしく聖地であった。

そんな感慨深い想いを、「あっ!」と言う麻琴の声がかき消した。

「亮介さん!函太郎、函太郎」

麻琴の一言に異世界から現実世界へと戻されたような感覚に陥った亮介は、寝たフリをして誤魔化し、騒ぐ麻琴の声も虚しくバスは函館駅に着いたのだった。

 

翌日の土曜日、麻琴と亮介は文筆堂へと向かった。

麻琴は、「誕生日のお祝いを波乃でしてもらった事への感謝と、そのために文筆堂のメンバーが協力してくれたお礼に行くので、できればみんなが集まってくれたら嬉しい」と栗生姉に連絡していた。

栗生姉が、「午前中は用事があって居ないから。午後にしてくれ」と言うので、1400に行く約束をして、札幌千秋庵のノースマンをお土産にして亮介に持たせ、一人一人に書いた手紙を持参して、2人で元町へと向かった。

 

朝から、文筆堂に集まったメンバー達は、麻琴の誕生日会の準備をしていた。

いつもは派手な装飾をして麻琴を迎えるのだが、今回はサプライズなのでいつもと変わらぬ雰囲気のままに、麻琴から波乃の感想を聞いて、最後にお祝いをしようと企画された。

久しぶりに文筆堂に来た松原みのりは、大きく深呼吸をして文筆堂に漂う独自の匂いを感じ取っていた。

波乃からの差し入れとして、湯の川名物の「銀月の串団子」が用意され、松原みのりと一緒に若い仲居の吉川ひよりがやって来ており、初めて見る文筆堂に興奮して栗生姉に写真を撮ってもいいか?と尋ね、スマホで何枚も写真を撮っていた。

お昼には、康平と奏太朗と桐山卓也の3人が、ラッピでテイクアウトしたチャイニーズチキンバーガーとラッキーガラナをみんなで食べて、麻琴が来るまでの相談をした。

柊二と梨湖は朝からフリーペーパーを持って営業に出ており、昼過ぎには文筆堂に戻れるのでランチは自分たちで食べると連絡があった。

しかし、本当は麻琴を騙したような後ろめたさもあり、麻琴の誕生日プレゼントを探しに行っていたのだ。

 

柊二と梨湖が戻って来て、今回のサプライスとなる誕生日プレゼントが夏妃によって披露され、その説明に一喜一憂して盛り上がった。

それは、黒猫のぬいぐるみだった…

「プレゼントで思うことは、みんな相手の好きなものではなく自分の好きなものを選ぶというお決まりがあるでしょ?麻琴ちゃんのことだから、どんなプレゼントでも喜んでくれると思うけど、テレビ番組ではコーヒーカップとかはあまり喜ばれないって言ってたし、この際だから奇想天外なプレゼントも面白いよね?なんて康平さんに相談しながら探して歩いたのだけど、なかなかコレ!というのが見つからなくて。麻琴ちゃんって、かなりオシャレだと思うし。例えば、家で星座が観れるプラネタリウムとか?これまでのクリオネ文筆堂の作品を動画で観れるプロジェクターとか第一候補として考えていたんだけどね。でもリアルには実用的な物とか、逆になかなか自分では買えない買わない物がいいかなって!結局のところ、次の日に私が1人で探して歩いていたら初めて見る雑貨屋さんの店先で、可愛い黒猫のぬいぐるみと目があって、コレだって決めた。それがね、不思議なぬいぐるみで人の心が分かってしまう、可愛い声で鳴く、あっ、しゃべったぁ!つまりAI搭載のぬいぐるみなのね。麻琴ちゃん喜んでくれるかな?この猫の抱き心地も本物みたいで、不思議でしょ?麻琴ちゃんは魔女だからね、やっぱ黒猫でしょう!」

キレイにラッピングされた箱をテーブルに置き、夏妃は屈託のない笑顔でそう話した。

 

「夏妃ちゃんは、麻琴ちゃんのことホント好きだよな。実の妹みたいに」

栗生姉がそう話すと、みんながウンウンと頷いているが、そんなセリフも耳に入らないのは高校生コンビである。

「やっぱり!麻琴ねぇさんは魔女なんだ。黒猫のぬいぐるみって、チトさんだよね?亜弓ちゃん」

桐山拓也が興奮冷めやらぬ状態で、青田亜弓に話しかける。

「あっ!ふらいんぐうぃっち?そうだよね、冬果ちゃん!私、あのアニメ好きだったの」

松原みのりも興奮して冬果に話しを振る。

「ん~っ、でも私は新海誠が好きかな、天気の子とか君の名は。とか、すすめ戸締まりもいいよね」

波乃の吉川ひよりや柊二と梨湖も加わり、アニメ談義に花を咲かせた。

尾崎と野本直美は、若い世代がアニメ話で盛り上がっているのを優しい笑顔で見つめていていたが、栗生姉と康平は話についていけなくて奏太朗に聞いていた。

 

夏妃ねぇさん、とても素敵なプレゼントです!きっと麻琴ねぇさんは喜びますよ。もし私が選ぶ側だったらこういうプレゼントは探せないし選べないと思います。麻琴ねぇさんを想う夏妃ねぇさんの心が、この黒猫ちゃんと出会わせてくれたのでしょうね?私も、夏妃ねぇさんのような優しい気持ちでいつもいれたらなと思います」

野本直美が、夏妃にそう話しかけると、さっきまでアニメ話で盛り上がっていた文筆堂には優しい空気が漂い、相手を慈しむ心を持った仲間がうっとりするような笑顔で微笑んでいるのを、波乃の吉川ひよりが感じ取っていて思わず松原みのりの手を握っていた。

それに答えるように、松原みのりはニッコリと微笑み「これが文筆堂なんだよ!」と語り、ギュッと手を握り返した。

 

「よし、では最後の準備だ!」

栗生姉の一言で、テーブルを合わせコップや取り皿が並べられ、美味しそうなデザートが置かれた。

カチカチと時計の針が音を刻む中、誰も口を開くことなく麻琴がやって来る足音を聞き逃す事のないようにと、静かな空間を作り出している。

やがて、ザッザッと外から歩く音がかすかに聞こえ、「ただいまー!」と元気な麻琴の声が玄関から聞こえてきた!

真っ先に女子高生コンビが走って行き、「おかえりなさい!」と迎えた。

緊張している波乃の吉川ひよりに、尾崎は…

「ここ文筆堂では、ただいま!と言って入って来て、おかえりなさい!と言って迎えるのだよ。これは、麻琴ちゃんのアイデアなんだ」

そう言うと、優しい笑顔で微笑んだ。

パッ!と顔を明るくした若い仲居の女の子は、「これは波乃でも使わせてもらいます。こんな素敵な挨拶は、きっと波乃のみんなにも喜ばれると思います」と嬉しそうに話し、その仲居の吉川ひよりの横顔に野本直美は少し涙ぐむのだった。

 

久しぶりに文筆堂にはメンバー全員と波乃の若い仲居も加わり、麻琴と亮介を出迎えた。

《昨年の麻琴の誕生日の時も思ったが、やはり誕生日は文筆堂でやってほしい!今回は、無理を言って波乃に宿泊させてもらったが、麻琴の喜びようが違う。こんな笑顔を毎日のように見れるのは文筆堂だけだ。麻琴だけじゃない、みんながとても良い笑顔だ。これなんだ、この笑顔と明るさこそが函館の未来へと繋がるのだ。この笑顔を絶やしてはいけない!みんながこんなにも輝けるように、僕にはもっと自分が文筆堂で出来ることがあるはずだ。康平さんだって、何度も文筆堂には顔を出している。仕事が忙しいなんて言い訳は通用しない。

このままでは麻琴のために、こうして集まってくれているみんなに申し訳ない。僕だってやれるはずだ!波乃に行って成長した姿を、早くみんなに見てもらえるようにしよう》

 

そう心に誓う亮介を、野本直美が見つめていた。

「亮介にいさん、素敵ですよ!」

亮介は野本直美の声を聞いたような気がして、離れている野本直美を見るとトラピスチヌ修道院のマリア像のごとく慈しむような笑顔を亮介に向けていた。

そして亮介が、小さくガッツポーズで野本直美に答えた。

 

麻琴は、文筆堂のサロンに入ってくるなり、マシンガントークで波乃に着いてからの事を語っていた。

「大丈夫か?」と誰もが心配するほど麻琴はずっと話をしており、その雄弁さがいかに波乃での体験が素晴らしいものであったかを物語っており、先に波乃を体験したメンバーはウンウンと大きく頷いていた。

最後に残った夏妃と康平は、麻琴やみんなの波乃での体験を聞いて流行る気持ちを抑えるのに必死だった。

「あまりにも続けて波乃に行けば、却って迷惑になる!」そういう康平の言葉に夏妃は賛成し、「自分たちは最後でいいからゆっくり落ち着いた頃に行こう」と2人で決めていた。

麻琴の言葉に、涙が止まらない波乃の吉川ひよりは、松原みのりの手を握り何度も「この事は、みんなに伝えるから!絶対に伝えるから」と固くそう誓った。

 

急にマシンガントークが終わった麻琴は、柊二と梨湖を見つめると…

「柊二くん、梨湖ちゃん!よくも私をハメたわね?波乃に1人で残された時に、緊張から心臓が口から飛び出しそうだったのよ。みのりちゃんのお母様の凜とした姿に、さらに緊張してろくに挨拶も出来なかったんだからね。分かってんの?」

いきなり口調が変わった麻琴に、柊二と梨湖はオロオロするばかりで梨湖が「すみません、すみません」と謝り、柊二がオズオズと麻琴に誕生日プレゼントを差し出した。

すると、麻琴が「ワーイ!プレゼント、プレゼント」をはしゃぎ出し…

「柊二くん、梨湖ちゃん!近い内にあなた達の隠れ家、海の見える丘クリフサイドに連れて行ってね。私、あそこのイカナポリタンが大好きなんだ!みのりちゃんも仲居ちゃんも行こうね。女子だけにデザートケーキが付くんだよ。柊二くんは指を加えて見ていてね。という事で、後でお店に予約しておいて!私のおごりだからね、柊二くん、梨湖ちゃん。波乃へ連れて行ってくれてありがとう!みのりちゃんも仲居ちゃんもホントありがとう。松の間に泊まれるなんて、もう天国にいるような気分だったよ。女将さんにヨロシクと伝えてね。そして、みんなありがとう!文筆堂大好き、みんなのことも大好き」

最後は、大粒の涙を流す麻琴だった。

 

寄り添っていた夏妃は、しっかりと麻琴を抱きしめると「康平さん、お願いします!」と言った。

サロンの奥から、康平がラッピングされたキレイな箱を持って来て栗生姉に渡すと、「麻琴ちゃん、これは文筆堂みんなからの誕生日プレゼントだ!選んでくれたのは夏妃ちゃんで、函館中を歩き回ってようやく見つけた一品だぞ。良かったな麻琴ちゃん!みんな中身を見ていないから興味津々なんだ、さぁ~早く中を開けて見せてくれ!」

栗生姉の言葉にキョトンとしていた麻琴だったが、「夏妃ねぇさん!」と言って夏妃に抱きつき、やがて立ち上がると涙を拭こうともせず「みんな!ありがとう」と何度も頭を下げていた。

 

夏妃の説明を聞いて麻琴が箱を開けると、そこには黒猫のぬいぐるみが入っていた。

「エッ!?これホントにぬいぐるみなの?まるで本物みたいだし、すごく可愛い」

そう言って、麻琴が黒猫のぬいぐるみを抱きしめ頬ずりすると、「ニャー!」とぬいぐるみが泣き出すのだった。

あまりのリアルな反応にみんなが驚いていると、桐山拓也が立ち上がり興奮した様子で話しだした。

「そうか、麻琴ねぇさん!木幡真琴、字が違うけど同じマコトなんだ。やっぱり、ふらいんぐうぃっちだよ亜弓ちゃん。麻琴ねぇさんは魔女なんだ、だからこの黒猫のぬいぐるみが反応したんだ。麻琴ねぇさん、この黒猫のぬいぐるみはチトさんって名前なんです」

桐山拓也の興奮している様子を見ながら、「桐山くんって、アニメオタクなんだね!」と松原みのりにボソッと呟く仲居の吉川ひよりだった。

 

END


今回の箱館ストーリー「クリオネ文筆堂・麻琴&亮介の物語」は、いかがだったでしょうか?

ぴいなつちゃんが7/3が誕生日なので、いつもの箱館ストーリーをと考えていましたが、ちょうど流れからフリーペーパーが出来上がる頃なので、そのまま番外編となる湯の川温泉・波乃の物語としました。

これまでの波乃の物語のターニングポイントとなる展開なので、当然のごとく長編となりA4用紙20枚分の超大作となりました()

麻琴だけでなく、今回はオールスターキャストの登場とし、ぴいなつちゃん・麻琴の誕生日をお祝いする運びとなりました。

今回の目玉は、夏妃が選んだ誕生日プレゼントの「黒猫のぬいぐるみ」です!

これは、夏妃である美蘭さんにお願いして、実際にプレゼントするなら何を選ぶのか?と尋ねました。

そこで美蘭さんが選んでくれたのが「黒猫のぬいぐるみ」で、美蘭さんから夏妃のセリフと共に送られた言葉をそのまま使わせていただきました。

さらに麻琴が箱を開けた時の反応やセリフも、頬ずりして「ニャー!」と鳴くあたりも、美蘭さんの文章そのままです。

ちなみに「ふらいんぐうぃっち」の行は、僕がぶっ込みました()

今回は美蘭さんとの合作となりました箱館ストーリー「湯の川温泉・波乃編」ですが、いよいよ次回の夏妃と康平の物語で、終わりとなります。

そして、自分の誕生日の物語とは知らず、ぴいなつちゃんは僕に騙されて、それぞれのキャラのフルネームを考えてくれました(笑)

そして新キャラとして、波乃の若い仲居・吉川ひよりが登場します。

もちろん命名は、ぴいなつちゃんです!

「ぴいなつちゃん、お誕生日おめでとう!」

今回のぴいなつちゃんのお誕生日のお祝いは、美蘭さんにも協力してもらったのだよ。

キミは世界一の幸せものだ。


美蘭さん、ご協力に感謝いたします。

ありがとうございます!


・フリーペーパー「湯の川温泉・漁り火便り」

AIに作らせた物です。

いくら「漁り火便り」だと何度も訂正をお願いしても、言うことを聞いてもらえず、梨湖の顔もどんどん変わって行くので、最後に一番最初に生成された梨湖の顔を合成しました。

フリーペーパーのイメージとして、笑って下さい(^^ゞ


・「湯の川温泉・波乃」仲居:吉川ひより

新キャラクターで、命名はぴいなつちゃん。

高校を卒業して波乃に就職した一番若い仲居で、松原みのりを自分の妹のように想い接していた優しい20歳の女の子。

頼りがいがあり、人から慕われる親分肌の人です。

積極果敢・才知に富み、求めずともリーダー的な立場になる強運の持ち主。

との説明があり、20歳だから今どきの若い名前にしたそうです(^o^)

これから、どんな活躍をするのか?お楽しみに。


・湯の川温泉波乃「松の間」


梨湖をモデルに波乃の「松の間」にて撮影された1枚。

フリーペーパーでの「波乃」の紹介文の冒頭を飾る写真だが、大きなポスターも作られ「波乃」のロビーに飾られている。


・やきだんご「銀月」

湯の川温泉エリアの電車通り沿いに店を構える「やきだんご 銀月」は、1966(昭和41)年創業、地元で愛され続けている老舗和菓子店。

北海道産米を製粉した上新粉で丁寧に作られた看板商品の串団子は、つきたてのお餅のように弾力があり、もちもちとした食感が最大の特徴。

ごま、しょうゆ、あんの定番3種のほか、秋、冬、春にかけて登場するきなこ、初夏に並ぶ草だんごなど、期間限定の串団子もあり開店と同時に地元のお客さんで賑わっている。