今日は、美蘭さんの誕生日です!

「美蘭さん、お誕生日おめでとうございます」

ささやかではありますが、美蘭さんのお誕生日のお祝いに、箱館ストーリーをご用意いたしました。

もちろん主役は、夏妃(美蘭さん)です!

今回は、これまでベールに包まれていたクリオネ文筆堂の歴史が少しだけ公開されます。

それでは、美蘭さんのお誕生日をお祝いする、箱館ストーリーをお楽しみ下さい。

 

箱館ストーリー「想いの風はどこまでも」

 

「夏妃、そろそろ帰ろうか?」

「ハイ!」

夏妃と康平は ひとりひとりにお礼を言って一足先に文筆堂を後にした

今日は夏妃の誕生日であり クリオネ文筆堂ではささやかな誕生日パーティーが行われた。 

 

文筆堂を出ると 茜色の黄昏が辺りを覆っていた

寄り添う2つの影が 細く長く伸びる

チャチャ登りを下に 影を追うように歩く

スニーカーの靴底から感じる石畳の鼓動が やわらかなリズムを刻んでいる。

 

函館山から吹き抜ける風は 私の想いを積み重ね 茜色をきらめかせる

もしここで恋心をささやけば 元町の教会の鐘のように響き渡るだろう

夕日差し込む あの日の思い出

記憶をたどれば 胸の奥がくすぐったい。

 

康平さんが連れて行ってくれた レトロな建物

昔 チャチャ登りの上に たくさんの種類の本が並んだ小さなカフェがあった…

本が好きな女性が 廃墟となっていた和洋折衷の建物をリフォームしたもの

「ゆっくりと読書を楽しんでほしい」

そんなコンセプトのお店だったが 残念ながら私が函館を去った時にお店も無くなった。

 

まるで どこか知らない国へ紛れ込んでしまった 不思議の国のアリスのように…

そんな気分にさせてくれるお店 私はとても好きだった

チャチャ登りを振り返ると 瞳の奥に輝いている 大切な私の気持ち

I love you only,forever

そっと歌の歌詞のようにメロディを付けて口ずさみ 私は康平さんの手を握った。

 

一週間前に 康平さんと赤レンガ倉庫から十字街電停に向かって歩いている時に

新しいオシャレなお店を見つけた

「来週末にでも、麻琴ちゃんを誘って行ってみよう!」

思わず立ち止まり つぶやく

きっと私 麻琴ちゃんを誘うときに照れた顔をするのだろうな?

「夏妃は、いつも麻琴ちゃんに話しかける時に照れた顔をするんだよな!」

康平さんが教えてくれた 私が知らない自分の小さなクセ

クスクスと微笑みの時間が流れる。

 

康平さん 辛い時にいつも側に居てくれた事 流した嬉し涙 私はいつまでも忘れない

晴れ渡る心の中は 2人を染める茜色

優しい空 どこまでも続いている

隣でずっと見てきたから 感じ合える同じ気持ち

I love you only,happiness

 

この街でめぐり会った私たちは いつの間にか心惹かれ始め そしてお互いに恋をした

溢れだす想いの風は 2人を包み込んでいく

茜色の大三坂を歩き出す

康平さん いつも側で笑い合える そんな日々をこれからも過ごして行きましょう!

 

昔 チャチャ登りの上に たくさんの種類の本が並んだ小さなカフェがあった

本が好きな女性が 廃墟となっていた和洋折衷の建物をリフォームしたもの

残念ながら私が函館を去った時に お店も無くなった。

 

それから2年後に1枚のポストカードが届いた

《夏妃 覚えているか?チャチャ登りの上にあったレトロなカフェ 今はクリオネ文筆堂という店になったよ》

5月に届いた 函館のポストカード

康平さんの 懐かしいクセのある文字。

 

どこまでが空で どこからが海なのか?

そして思い出す 八幡坂からの青く晴れた函館の景色

私は そんな光の色を確かめに 再び函館に行くことを決心した

康平さんが待つ函館 新しいお店は私の想いを受け止めてくれるだろうか?

 

再び函館に戻った私は 真っ直ぐに話題の賞味期限30分の生クレープを食べに

アンジェリックヴォヤージュ というお店に向かった

そこで行列に並んでいる時に 私の前に同じく並んでいる女性が話しかけてきた…

 

「あ~んどうしよう!苺のミルフィーユか?いちごのシュークレープか?迷う~」

たぶんひとり言だと思うけど けっこう声が大きいのでよく聞こえる

その時に ふと目があった

「あっ、すみません聞こえてました?どうしても悩んじゃって!もうお決まりなんですか?」

「いえ、私ここ初めてで。苺のミルフィーユが人気No1だと聞いたので、とりあえずそれにしようかな?なんて思っていました」

「そうなんですか?じゃー私は、いちごのシュークレープにします。季節限定だし」

私は その女性と元町公園まで行き一緒にクレープを食べ その後に康平さんに電話をした。

 

康平さんと再び出会い結婚した私は 康平さんと一緒に新しくオープンしたクリオネ文筆堂へと出掛けた

クリオネ文筆堂は かつてのブックカフェの名残りをそのままに 新しく生まれ変わったお店だった

新しくなったお店は男性がオーナーであり 栗生姉だからクリオネ文筆堂という店名にしたのだと教えてくれた。

 

しばらくして私は 一人でクリオネ文筆堂を訪れた

その時に あのアンジェリックヴォヤージュで会った女性に再開した

この人こそ 私の大親友であり 今では妹のような存在の麻琴ちゃんだった。

そして…

麻琴ちゃんと亮介さん 私と康平さんは クリオネ文筆堂の側にある 聖ヨハネ教会で一緒に結婚式を挙げた

これは形式的なものだったので 招待客は栗生姉にいさんであり 私と麻琴ちゃんの婚姻届の証人にもなってくれたのだった。


やがてクリオネ文筆堂で 直美ちゃんと尾崎先生 冬果ちゃんと奏ちゃん 亜弓ちゃんと卓也くん みのりちゃん 梨湖ちゃんと柊二くんに出会った

新しくできた かけがえのない私の友達

そして…

私と康平さんの想いを繋いでくれたのがクリオネ文筆堂で そんな想いを胸に私と康平さんは大三坂を下る

ふと立ち止まり振り返り 私の愛するみんなとクリオネ文筆堂へ感謝の気持ちを伝えた!

 

END

 

今回の箱館ストーリー「想いの風はどこまでも」はいかがだったでしょうか?

 

美蘭さんのお誕生日をお祝いする物語として、夏妃を主役に展開しています。

文筆堂の仲間は名前のみの登場ですが、今回はクリオネ文筆堂の歴史や麻琴との出会いが夏妃を通して語られています。

実際に文中にあるように、チャチャ登りの坂の上に小さなブックカフェがありました!

私自身も行ってみたいなと思っている内に、いつの間にかお店は無くなってしまい…

それこそが、クリオネ文筆堂のイメージになったのでした。

麻琴と夏妃と栗生姉との出会いも、これまで語られることもないままでしたが、この物語でようやくベールに包まれていた謎が判明します()

麻琴と夏妃との出会いも、いかにも麻琴(ぴいなつちゃん)らしいと思いませんか?

美蘭さんは、ぴいなつちゃん(麻琴)を、食いしん坊キャラにしているのに不満があるようですが、本人(ぴいなつちゃん)が気に入っているようなので、このままで(^^


改めて…

「美蘭さん、お誕生日おめでとうございます!」

 

それでは、次回の箱館ストーリーでお会いしましょう。