箱館ストーリー「クリームソーダ日和」

 

夕陽を受ける長い坂道を 私は途中から駆け上っていく

いつもの坂道 それは基坂

そして立ち止まり振り返り 手を振って大声で叫ぶ

「直美ねぇさん!」

元町の石畳 直美ねぇさんが好きな基坂 夕陽に輝く旧函館区公会堂

歩くほどに感じる 美しい洋館や教会たち

石畳の坂につながる ノスタルジー

 

初めて直美ねぇさんと2人で撮った 元町公園での写真

写真の中の私はすっごい笑顔 ずっと私は直美ねぇさんをこうやって見ていたんだ

ちょっと恥ずかしいな

 

今日は クリームソーダ日和

弾ける青い炭酸 アイスがとけだす前にスプーンで一口

直美ねぇさんが連れて来てくれた 十字街にある街角クレープ

「みのりちゃん!このお店はね、私のお気に入りなの。尾崎先生も文筆堂の誰にも教えてない、私だけの秘密の隠れ家かな」

直美ねぇさんが「2人だけの秘密ね!」そう言って照れている

 

甘いバターの香り漂う店内は レトロで落ち着いた雰囲気がおしゃれで 直美ねぇさんにピッタリ

直美ねぇさんが頼んだ 塩キャラメルと完熟バナナのクレープを少し食べさせてもらった

生クリームが入っておらず 上の方はパリパリサクサクの食感で 下の方は塩キャラメルソースがたっぷりで生地がモチッとしていた

「こんなクレープ食べたことない!」

思わず そうつぶやく

「みのりちゃん。もっと食べていいよ!」

直美ねぇさんが やさしく微笑む

 

直美ねぇさんが見つめるので 顔が火照る

私はクリームソーダを飲んで 熱い気持ちを抑える

「みのりちゃん、食べたら行こうか?」

 

店を出て 雲の切れ間 2人で太陽が顔を出す空を眺めた

このまま ずっと一緒にいられたら…

見上げた空 あまりにも綺麗で つい口に出してしまった

「直美ねぇさん、もう少し一緒に歩きたいです…」

大三坂を上ろうとする直美ねぇさんがニッコリと微笑む

「みのりちゃん、こっち行こうか?」

そういうと直美ねぇさんが歩きだすので わたしは隣に行って手を繋ぐ

 

「直美ねぇさん大好きです!これからも2人で手をつないでいきたい。いつまでも…」

直美ねぇさんの片手には テイクアウトしたクリームソーダ

「みのりちゃんが美味しいというから、私も飲みたくなっちゃった」

 

2人の気持ち ちょうちょ結びでほどけることがない様に しっかり手をつなぐ

赤レンガ倉庫を横切り 基坂を目指す

今日はクリームソーダ日和 アイスがとけだす寸前 甘い香りが漂う

 

「直美ねぇさん!遅くなってしまいましたね。みんな待っているのに…」

「みのりちゃん、たまには寄り道もいいじゃない!今日は2人だけのヒミツでしょ」

「ハイ!」

そう言うと 私は基坂を駆け上る

坂の上まで直美ねぇさんがやって来る そしてまた手をつなぎ元町の石畳を歩いていく

そして みんなが居る 文筆堂へ!

 

END

 

「街角クレープ」

市電の十字街電停から赤レンガ倉庫へと進んで行くと左手にある建物の2階にあるお店。

生地がパリパリサクサクで、こだわりポイントの高い食材をモチーフに作られるクレープは、なんと賞味期限がたった5分間!

大人気のアンジェリックヴォヤージュは賞味期限が30分だが。こちらは5分。

観光客も少なく、店内で食べることが出来る、まさに大人のクレープ屋さんという感じ。

甘いバターの香り漂うレトロな雰囲気の店内で、賞味期限5分のクレープはいかが?

  

今回の箱館ストーリー「クリームソーダ日和」は…

野本直美と松原みのりの物語です。

先日の大人遠足で、この物語のヒントを得ました。

ちょうど五稜郭から市電に乗り、十字街でコナン君の車内アナウンスがあり、思わず降りて

赤レンガ倉庫から基坂を上り、元町の石畳を進み、チャチャ登りの下まで歩きました。

見上げれば左手に聖ヨハネ教会があり、右手にはクリオネ文筆堂が…

しかし、文筆堂はお休みでした()

だから こうして物語では野本直美と松原みのりが文筆堂へと向かっております(^O^)

 

それでは、また!