函館ストーリー「虹の架け橋」


「ねぇ、今どこにいるの?」

「あと、しばらくして君の家に着くよ」


「朝からシチューを作って待っているのよ、お昼には間に合うの?」

「雨は少し前に上がったからね、今は太陽が眩しいよ」


「あと、どれくらいかかるの?」

「あと、1時間ぐらいかな?」


「1時間?もっと早く来れないの、早く会いたいのに…」

「一つだけ、早く行く街道があるんだ」


「その道を、早く来て」

「僕だって、その道を行きたいよ、でも通れないんだ」


「どうして?」

「虹街道だからさ…」


函館山の麓から彼女の住む西部地区へと、大きな虹の橋が架かっていた。

僕は、その虹を見ながらアクセルを踏んだ。