函館ストーリー「ハルジオン・ヒメジョオン」


函館山の麓にある西部地区は、ベイエリアや元町などと違って観光客も来ない。

スーパーもコンビニもない静かな場所で、不便だと思われがちだけど…

僕は、その静かな環境が好きだ!


1年前に僕は、この西部地区に引っ越して来た。

2階建ての、元は花屋さんだった建物の2階部分が僕の住居だ。

1階がお店の花屋で2階が住居として使われていたと、この建物を管理している

不動産屋から聞いた。

コロナ禍で花屋さんは閉店し、建物だけが残ったという。

中古の店舗として売り出したが、場所柄なのか買い手もつかず、そのままとなっていた。


2階部分を住居として貸し出すというので、僕は迷わず名乗り出た。

そして…

今日、1階の店舗跡にカフェがオープンする。

お店の名前は「ハルジオン・ヒメジョオン」というそうだ!

その名の通り、美しく可憐な女性がここにカフェを営業する。


僕は光栄にも、お店のオープン第一号の客として招待された。

そして僕は、店主である女性を「ヒメさん」と呼んでいる。

もちろん、ちゃんとした名前があり僕らはお互いに挨拶を交わしているのだが…

ハルジオンの花言葉は「追想の愛」である。

ヒメジョオンの花言葉は「素朴で清楚」である。


ハルジオンの花言葉の「追想の愛」とは…

若かりし日の過ぎ去ってしまった愛を偲ぶ」 という意味だ。

ヒメジョオンの花言葉のように「素朴で清楚」なヒメさんに、僕は…

「過ぎた日の事を思い出すのではなく、今をこの瞬間を僕は愛に生きる」

と誓った。