ぴいなつ作:函館ストーリー「ノックをしないキューピッドたち」
こちらは、「ぴいなつ作品」です!
ぴいなつ先生の作品を紹介しています。
ぴいなつ先生の新作「函館ストーリー」が完成しましたので、公開いたします。
今回は、「ポストカード」がテーマ!
函館に住む彼女と2ヶ月前に別れた彼の物語。
ぴいなつ先生がインスピレーションのままに書き上げた原稿を先に美蘭先生が朗読しており、その世界観を元にして物語を完成させた新しい函館ストーリーを、お楽しみ下さい!
ぴいなつ作:函館ストーリー「ノックをしないキューピッドたち」
函館港に面しているcafeは、早春のホットコーナーの中にあった。
あたたかな春の日差しが店内の暖房を忘れるほどで、上着を脱いでゆっくりと窓の外を眺めた。
函館山を見渡せる大きな窓の外は、春というのに名残の雪が舞っていて、ふと少し寒さを感じたがコーヒーの温もりが、体中に染みわたる。
僕は上着から、1枚のポストカードを出した。
そこには、見慣れた彼女の美しい文字で「さ・よ・な・ら」とだけ書かれていた。
彼女との想い出を探しに、僕は函館にやって来た。
去年の春、就職でこの街を離れることになり、彼女とは自然消滅のような状態になってしまった。
慣れない環境の中、毎日が精一杯で思うように彼女と連絡すらとれない日々が続いた…
いや、連絡が取れないのではなく、毎日の会社とアパートの往復は、僕が思った以上に過酷で休みは殆ど何もせずに寝ているような日々だった。
やがて僕が函館を離れ2か月が過ぎた頃に届いたのが、このポストカードだった。
「やれやれ、僕にとっては、あっという間の2か月も、みちるにとっては長い時間だったのだろう」
時だけがいたずらに過ぎて、いまだに僕は彼女に連絡ができないでいる。
この一方的ともいえる別れから1年近く経つというのに、まだ消化しきれていない気持ちが僕の中で渦巻いていた。
「本当に、もう、終わりなのだろうか…」
納得できないまま、僕は1年もの間モヤモヤしていた。
何度か電話しようとした、何度もLINEを送ろうとした、しかし僕にはその勇気がなかった。
「みちるはとっくに、前を向いて歩き始めているのかもしれない…」
いつも、頭の中は堂々巡りだ。
そんな自分に嫌気がさし、気づいたら僕は函館駅に着いていた。
市電に乗り、二人で行った想い出の場所を訪れていたら、彼女の笑顔ばかりが浮かんできて、せつなくなってしまった。
「思い切って、返事を書こう!」
1年も経ってしまったけれど、そうでもしないと僕は前に進むことができない。
ケジメをつけなければ…。
最初のデートで、初めて手を繋いで見た函館山からの夜景。
今でも、あの時のドキドキは覚えている。
僕は、一人でロープウェイに乗り夕暮れから夜の帳が下りる函館山から夜景を眺めた。
キラキラと輝く地上の星を見つめていたら、だんだん勇気が湧いてくる。
売店で夜景のポストカードを買い求め、僕は彼女に正直な想いを綴った。
ずっと返事を書けないままでゴメン。今、1年ぶりに函館に来ています。
二人で一緒に歩いた場所を辿っていたら、みちるの笑顔ばかりが浮かんできて参ったよ。
僕は、とても大切な人を失ってしまったと気づいた。まったく、今頃になって遅いよね…
遠くから、みちるの幸せを祈っています。今まで、本当にありがとう!
前もって用意しておいた、彼女が喜びそうなキレイな配色の切手を貼り、ロープウェイを降りた僕は、八幡坂にあるポストに投函した。
僕にとって、はじめての恋にやっと終止符を打った瞬間だった。
1年間、さまよい続けた僕の恋の行方は、彼女と最後に会った八幡坂の上で、澄んだ夜の空気とともに闇に消えていった。
翌日、僕はホテルの部屋からベイエリアを眺めていた…
週末の函館、彼女も仕事は休みのはずだ。
大人気の朝食バイキングも食べずにチェックアウトした僕は、もう一度二人の想い出を辿っていた。
「次に、この街に来るときは、景色もこれまでとは違って見えるだろう…」
函館駅発13:31分、特急北斗13号、札幌行き。
僕は、特急列車の時間ギリギリまで、ボーッと赤レンガ倉庫の前で海を眺めていた。
太陽の光が水面に反射してキラキラと輝いている…。
彼女へのポストカードは、明日にでも届くだろうか?
函館に住む彼女と、札幌に住む僕との特急列車4時間の恋の時間は短いようで長かった。
僕は、函館の街を心に焼きつけ、自分に言い聞かせた。
「いずれ時が解決してくれるさ…」
週末の函館から、いつもの平凡な時間を刻んでいたその時、ポストカードが僕のアパートの郵便受けに届いていた。
赤レンガ倉庫のポストカードには、「アンジェリック・ヴォヤージュの生クレープが食べたい!」とだけ、書かれていた。
彼女と別れる前に、「絶対に行きたい!」と、みちるが言っていた、こじんまりとした小さな洋菓子店。
「賞味期限30分の作り立ての生クレープを食べるんだ!」
と、はしゃいでいたあの頃の、みちる。
僕は、1年ぶりに彼女に電話をした!
次の週末、函館に行くことを伝えると、みちるは「うん!」と涙ぐみながら短く答えた。
どうやら、函館のポストカードは僕らの恋のキューピッドだった。
そして、イタズラ好きなキューピッドは、ノックもしないでやって来るんだ。
END
ぴいなつ作、函館ストーリー「ノックをしないキュービッドたち」は、お楽しみいただけましたか?
今回は、美蘭先生の朗読作品「函館ストーリー・1枚のポストカード」からインスピレーションを受けたぴいなつ先生が、短い冒頭の語りから見事に函館を舞台にした物語を作り上げました。
先に、ぴいなつ先生がイメージした初期原稿を美蘭先生が朗読するというサプライズもあり、いよいよ満を持してここに完成した作品を公開することになりました。
美蘭先生からのアドバイスをもとに描かれた、彼と彼女の恋の行方にも注目して下さい。
初期設定の物語は、美蘭先生の朗読のみ、お楽しみいただけます!
ぜひ完結した物語と、2つの作品を比べてみて下さい。
ぴいなつ先生と美蘭先生による、大人気の函館ストーリーが、また生まれました!
「キュービット」と「キュービッド」ですが…
「キューピッド」が正しいです!
日本では「恋のキューピット」と言ったりしますが、これは間違いで英語で書くと「cupid」で発音記号は[kjúːpɪd]となります。
物語のタイトルは、英語表記で「ノックをしないキューピッドたち」としました。
「キューピッド」とは恋人たちの間を取り持ち、恋を成就させる役割をする人やモノのことを意味します。
ぴいなつ先生から…
返信削除「美蘭先生との約束でね、1枚のポストカードの物語を書いていたの、ずっと仕舞い込んでいたのだけど、渡すね!」
と、いつものように急にポーン!と原稿が届いた。
ちなみに、こんなに可愛いセリフではありませんから(笑)
美蘭先生が朗読した、「1枚のポストカード」という作品からインスピレーションを受け、素敵な魔法をかけた物語に仕上げている。
美蘭先生のアドバイスの元、ぴいなつ先生らしい恋物語は、ゆったりとした早春の函館の舞台から、都会の喧騒そのままにチクタクチクタクと時を刻む札幌へと移る。
同じ北海道という大地の中、それぞれの時間の流れの違いがよく分かる。
一見クールな彼女と、優柔不断な彼との恋の行方は、美蘭先生のアドバイスで別れない方向で、物語はようやく終焉となるのだ。
僕なら、絶対に2人別れたままになるなと想像するところだが、綺麗な2人の女性の考えでは何とか復縁させようと思いを巡らすのだな…。
ここが、凡夫と才女の違いと言えるのだろうね(^^ゞ
大人気の、ぴいなつ先生と美蘭先生のコラボ作品。
また、函館ストーリーに新しい作品が生まれた。
この素敵な作品を見ることが出来るのは、文筆堂だけなのですよ!
そして、また眠れぬ夜のために、この作品を何度も読み返すのだ。
クリオネ先生、こんばんは^^
返信削除いやはや、ぴいなつは感動しています。
しばらく、コメントにならず
いま、やっと。
というのも、この原作は、
クリオネ先生の函館ストーリーの記念すべき第一作目だったのです。
そんな思い入れのあるステキな作品を、
2年ほど前にみらん先生がすばらしい演出にて朗読してくださり、
とても感激しました。
そのときに、ぴいなつが物語にする話になって、思いつくままに書いたのが原案です。
不思議な巡り合わせというのか、これが、キューピッドの仕業なのが、突然に熟成樽にしまったままになっていた、この原案を思い出したので
いつものように、ポーンとクリオネ先生に丸投げ作戦をしたわけです。
そこからが、またドラマチックな展開でして
原案をみらん先生が、すごい早ワザで朗読してくださって!!
それがまた、ジーンとくるなんとも思いのこもった世界でした。
みらん先生の意見を伺いながら、丁寧にクリオネ先生が、最後の魔術をかけてくれて、本日ここに、この物語は完結したのです。
なんと素晴らしい流れなのでしょう。。。感動しています。
前置きが長くなりましたが、、、タイトルからして、期待感が高まる!!
わたしも、完結版はここで読むのが初見ですから、ワクワクが止まらない気持ちで読み進めると
LINEなども登場し、こまかな描写が加えられ、ほんとうに秀逸だなぁと感心しながら、、、
きました、きました
なんと!みちるちゃんからの、お返事がポストに!!
きゃあきゃあ!!^^
しかも、賞味期限30分のクレープですよ?
まったく、クリオネ先生のリサーチ力?女子力?半端ないですねぇ^^
わかってるなーっ!^^
涙ぐみながら、、、うんと返事をする、みちるちゃん。。。
いやー、参りました!
嬉しすぎます
つらい別れからのハッピーエンド!!
やっぱり、嬉しいし
キュンキュンキュン!!ですよ
ジーンときて、キュンキュンきて
あー、恋っていいなぁ
函館っていいなぁ
と、あらためて感じた、ぴいなつは、感無量です。
みなさま、ほんとうに、いつもありがとうございます!!
感謝です!!
おはようございます( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
返信削除拝読しました!
とても自然な仕上がりになりましたね( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
函館から札幌まで、4時間かかるですね!
クリオネ先生とぴいなつ先生の魔法が、素晴らしいです( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
らんらんみらん
みらん先生、こんにちは^^
返信削除さっそく読んでいただきありがとうございます^^
この作品は、みらん先生の朗読からどんどんイメージがふくらみ
ついに、ついに
完結したのだと思っています^^
まさに、声の魔法ですね♪♪♪
クリオネ先生の原作に
いろいろな魔法がかかっていく様子がみえて
とっても楽しかったです^^
いつも、ほんとうにありがとうございます^^
こんばんは♪
返信削除タイトルには、どんな想いが込められているのかな?
英語的な意味があるのかな?
よろしくお願いいたします。
らんらんみらん🌸
前触れもなく、
返信削除突然!
ということですね!
ぴいなつ先生らしい素敵なタイトルです( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
らんらんみらん🌸
みらん先生、こんばんは^^
返信削除タイトルですが、、、
これは、いつものように
クリオネ先生がつけてくれたんです^^
可愛らしいタイトルに、わたしは読んだ瞬間ワクワクしちゃいました^^
そうですね、突然にやってくる
思いがけないキューピッドちゃんなんでしょうね^^
クリオネ先生が、くわしく解説してくれるかもしれません♪♪♪
美蘭先生、ぴいなつ先生
返信削除え~と、タイトルの「ノックをしないキュービッド」の意味ですね?
分かりづらくて、すみません!
まず「キューピッド」ですが、古代ギリシア神話に登場する「愛の神様」です。
日本では、「恋のキューピット」などと言いますが、これは日本語的な発音で英語では「キューピッド」と言います。
「キュービッド」と「天使」はまったく違い、黄金の矢を持っているのが「キューピッド」です!
また、「キューピッド」は、愛の神様ですが、それ以外に愛を生む(つかさどる)物という意味でもあります。
この物語は、「1枚のポストカード」が2人の仲を取り持つ物として登場しますから、「ポストカード」が「キューピッド」という役割としました。
ギリシア神話によると、「キューピッド」はイタズラ好きだそうなので、「ノックをしないキューピッド」というタイトルにしました。
美蘭先生の言う、《前触れもなく、突然!》も、意味を返せば同じですから、さすがですね~(^O^)/
おはようございます。
返信削除英語的だと、単数か複数か表しますよね。
彼女からのポストカードは、必ず「1枚のポストカード」なんですね。
彼が、書くポストカードは、
「1枚のポストカード」とは、書かれていないですね。
それは、
そのポストカードに書かれて
いる言葉も少なくて、
そんなことも強調されていますね。
言葉不足ともいえるし、
短い言葉にも、
言葉の力が、ありますね!
「1枚のポストカード」という言葉は、
返信削除3かいありました。
2かいめのは、
「ポストカード」で、いいのかな?
と思いましたが、
どうなのでしょう?
美蘭先生
返信削除タイトルの「キューピッド」ですが、文筆堂は海外からのアクセスが多いので、英語表記の「キューピッド」としました。
本編では、日本語で「キューピット」でも良いかもしれませんが、同じ表記としました。
美蘭先生
返信削除「1枚のポストカード」は、僕も彼女も、特に意味はありません。
冒頭部分は、美蘭先生の朗読作品でもあるように、タイトルも内容にも、「1枚のポストカード」と表現していますので、ぴいなつ先生がそのままに、物語をイメージしたので、「1枚のポストカード」となっているのだと思います。
冒頭の僕が上着からポストカードを取り出すシーンでは、「1枚のポストカード」で良いと思いますが、いかがでしょうか?
それ以降は、美蘭先生の指摘通り、「ポストカード」という表現に訂正いたします。
また、タイトルも変えた方がいいですかね?
英語とか詳しくないまま、付けてしまいました。
美蘭先生
返信削除冒頭の「僕は上着から、1枚のポストカードを出した」
の部分だけを残し、それ以降の文章は「ポストカード」に訂正いたしました。
みらん先生、こんにちは^^
返信削除コメントできるようになって安心しました^^
色々と考えてくださり、ありがとうございます!!
そして、この作品もみらん先生に朗読していただけるということで、本当に感謝です!とっても楽しみです^^
と、クリオネ先生にも、こちらにて朗報をお伝えしちゃいまーす^^
なるほど、、、複数形だとか考えもしませんでした!
原作と違ってポストカードが一枚だけじゃなくなったので、、、3枚のポストカードすべてをキューピッドと見立てるならば
「ノックをしないキューピッドたち」
にしてみるのもありかなー?と。
クリオネ先生、みらん先生、いかがでしょうか?
ぴいなつ的には、キューピッドちゃんのタイトルがすごく気に入っておりまして^^
そして!クリオネ先生が早くも
ポストカードの表現を丁寧に修正してくれたようで^^
ほんとうに、ありがとうございます♪♪♪
みんなで一緒につくりあげていく
という感じがして、とっても嬉しいです^^
ぴいなつ先生
返信削除美蘭先生
タイトルを「ノックをしないキューピッドたち」に変更しました。
いかがでしょうか?
他にもありましたら、ご指摘下さい。
クリオネ先生、こんばんは^^
返信削除さっそく、ありがとうございまーす!!
キューピッドちゃんたち、
うちのポストにも、
ノックなしに遊びにこないかなぁ〜(笑)
おはようございます。
返信削除やるほど~、
ポストカード各々に、キューピッドがいるのですね!
昨夜から想像を巡らせていましたよ。
やるほど~→なるほど~
返信削除でした。
幸せを届けるキューピッドさんたち、
返信削除わたしのところにも、パタパタと羽音をさせて、ひらりと
くるといいなぁ~💕
小川未明さんの
返信削除「飴チョコの天使」を思い出しました。
みらん先生、こんにちは^^
返信削除小川未明さんの
飴チョコの天使
気になって調べてみたら
森永のミルクキャラメルのことなんですね?
たったいま、森永のミルクキャラメルを食べたばかりで
ビックリ仰天しました(笑)
これは、キューピッドの仕業ですね^^
ふふふ
そうなんです!
返信削除森永のミルクキャラメルのことです。
滋養が、あって当時は高級だったそうです。
未明文学館にいくと、大きなミルクキャラメルがあります。
そこに天使が、います。
確かキャラメルは、白い四角い椅子として使えたように記憶しています。
https://youtu.be/sfbYnselpyQ
返信削除朗読しました。
僕のアパートの郵便受けにポストカードが届いていた。
↓
ポストカードが、僕のアパートの郵便受けに届いていた。
というようにさせていただきました。
よろしくお願いいたします。
美蘭先生
返信削除朗読ありがとうございます!
美蘭チャンネルにて、公開いたしました。
原作は、美蘭先生の朗読に合わせて修正いたしました。
みらん先生、朗読ありがとうございます!!^^
返信削除クリオネ先生、さっそくアップしていただきありがとうございます^^
未明文学館に、大きなキャラメル!!
興味深々です^^
いつか、座ってみたいなぁ♪♪♪