2年ぶりに訪れた坂の街は、あの時とずいぶん変わっていた…

私は、思い出を探しに来たのかもしれない。


私の好きな、はこだて明治館は、あの時のままだった。
2階へ上がると天使の歌声が鳴り響いていた。


《天使の歌声…》


オルゴールの音色を、彼はそう表現した。


広いスペースにずらりと並んだ、たくさんのオルゴール。

一つ一つ、見ていたら…

あの夏の日によく聴いた、思い出の曲が流れてきた。


「オルゴールの音色の数だけ、夢がある!」

2年前に別れた彼が、笑顔でそんな風に言っていたのを思い出した。