青森県にある「恐山」で、私はもう一つの怖い体験をしている。 

私はかつて、恐山の湯小屋で怖い体験(消えない足跡)をしてから、恐山には行かないようにしていた…

その日は法事をやるからどうしてもと頼まれて、運転手として恐山に向かった。

 

私は、法事には参加せず山門のところで座って休んでいた。

暑い日で、太陽が眩しくボーッと例の湯小屋を眺めていたら、急にゾクゾクと寒気がする。

いくら山の中とはいえ、その日は真夏日で汗ばむほどだった。

 

ふと、湯小屋の入り口を見ると、天井から人型の白い物体が頭を下にして出てきた。

人の形をした白い物体…

思わず腰を抜かすような衝撃で周りを見ると、隣に座っていた女性が口をパクパクしながら目を大きく見開き指を指し震えていた。

どうやらショックで声が出ないらしい。

私は、ようやく声を絞り出し「アレが見えますか?」と聞いた。

すると、女性は「ウンウン」と顔を上下に動かした。

 

その湯小屋の周りには観光客がたくさん居たが、その人たちには見えないらしい…

私と、隣の女性と、同じく山門近くに居た数人が見えるらしく言葉を失い固まっていた。

どうやら、見えるのは山門近くに居る人だけらしい。

やがて、その白い人型の物体は頭を上にして体を起こすと、消えてしまった。

 

白い人型の物体…

顔もなく、ただの白い影のようなモノだった。


「消えない足跡」については、以下のURLからどうぞ!

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