川の岸の砂の上には 河童の足跡と云ふものを見ること決して珍しからず。 

雨の日の翌日などは殊に此事あり。 

猿の足と同じく親指は離れて 人間の手の跡に似たり。 

長さは三寸に足らず。 

指先のあとは人のやうに 明らかには見えず。

(遠野物語・第五十七話)

 

遠野物語の中で一番好きな部分だ。 

今にも河童が、ひょこりと顔を出す!

そんな感じがする。