岩手県金田一温泉。

ご存知の方も多いと思うが、金田一温泉は「座敷わらし」が出ることで全国的にも有名な場所である。 

今回は、数年前に体験した不思議な話をしよう…。

 

その日、買い物が目的で出掛けた帰り道、せっかくだからと金田一温泉に立ち寄った。 

ここには、数件の温泉旅館が並んでいる。 

人気の温泉旅館に行ってみた!

しかし駐車場には空きがなく、別な旅館を探した。

 

日帰り入浴OK!という看板もなく、営業しているのかも分からない鄙びた旅館があった。 

恐る恐る玄関に入ると女将さんが出て来たので尋ねると日帰り入浴はOK!という事で、お金を渡すと浴場に案内してくれた。 

途中の廊下で、誰かに見られている視線を感じて、そちらを見ると子供が書いたのだろうか?子供を描いたクレヨン画の絵が貼ってあり、その絵の目がこちらを見ている、そう視線が合うのだ! 

この絵は?と女将さんに声を掛けると、《宿泊した家族の子供が描いた座敷わらしの絵なんです》と教えてくれた。 

絵は1枚だけでなく壁に貼られてあり、どれも子供が描いた「座敷わらし」の絵だという。

 

女将さんが、浴場の戸を開けてくれた。 

こじんまりとした浴場で、一人の先客が居た。 

脱衣所が妙に暗く感じる。 

服を脱ぎ、中に入り温めの温泉に体をあずけボーッとしていると、時より変なが聞こえる。 

最初は、隣の女湯かボイラーか何かの音だろうと思っていたが、一緒に湯船に浸かるオジサンは、何も聞こえていないようだ。 

しかし、この音はおかしい… 

女湯から聞こえるのは、話し声とシャワーやお湯をかける音だ。(女湯は混んでいた) 

これとは別に聞こえる音、いや音というよりも、これはラップ音ではないか? 

ピシッ!ピシッ!と張り詰めた音が、時より浴場に響く… 

でも隣りにいるオジサンは聞こえないのか、まったく動じない。 

オジサンと2人しかいない浴場は、でも確かに他にも人がいる気配がする((((;゚Д)))) 

やがてオジサンと僕は、ほとんど同時に風呂から上がるが脱衣所はシーンとしており、我々が服を着る衣ずれの音しかしない。 

浴場にこだましていた、あの謎の音はまったくしない! 

静か過ぎるほど、脱衣所はシーンとしている。 


その後、服を着てロビーに行くと宿泊客が書いたノートが目に入り、読んでみた。

・浴場ではラップ音がすごかった。

・肉眼でも見える大きなオーブ(霊玉)を見た。

・写真を撮ったら、たくさんのオーブ(霊玉)が写った。

・夜中に、消したはずの部屋のテレビが映っていた。

などなど…

宿泊客のほぼ全員がこれらを体験して、それをノートに書いているのだ。 

特に、浴場のラップ音は有名だそうで多くの書き込みがあり、女将さんの話によると《座敷わらしが遊んでいる》のだと言う。

この旅館では、「座敷わらし」“わらしちゃん”と読んでいて、浴場と大広間に必ず現れるのだという。

また、写真を撮ると必ずというくらいオーブ(霊玉)が写るそうだが、「座敷わらし」との関連性は分からないという。

見える人には肉眼で見えるそうだが、私の目には何も見えなかった!

 

そして、私の連れが浴場からやって来たのだが、目の前に来てもキョロキョロと辺りを見渡している。

声を掛けると、ものすごく驚いていた!Σ(Д)

私が声を掛けるまで姿が見えなくて探していたのだという。

私が声を掛けたとき、足元からだんだん姿が現れたのだという。 

そこで、ノートを見せた!

すると…

旅館に入った時から、誰かに見られているような気がして落ち着かなかった。

浴場では、男湯の方からラップ音のような変な音が聞こえたが、他の人は聞こえないようだった。

自分が風呂から上がる時に、男湯の方からお湯をかけるような音や風呂桶が転がるような音がしていたので、私がまだ入っているんだと思っていたという。

しかし、私が風呂から上がった後は、男湯は無人であり音がするはずがない。

そして、私たち以外の入浴客は皆、高齢の方ばかりであった。

しかも、私の姿が見えなかったというのは、何を意味するのだろうか?

これこそ、「座敷わらし」のイタズラだとでも、いうのだろうか…。


ここまで読んだ方は、なぜこの旅館の写真がないのか?と思うだろう。 

スマホで撮影したオーブ(霊玉)の画像くらいUPしろ!と言うだろう。 

しかし… 

あまりの衝撃的な体験に、撮影など出来るはずがない! 

最初から知っていて行くなら、それなりに準備もするし心構えもある。 

何も知らずに立ち寄った場所で、いくらスマホがあるとはいえ撮影など出来ない。 

いや撮影を試みたが、連れに断固反対された!

 

いずれにしても、この旅館はマスコミなどで紹介されない貴重な宿である。 

それゆえ、「座敷わらし」も安心して住み着いているのではないだろうか? 

女将さんの話では、宿泊客は多くを取らず1日1組~2組ほどしか入れず、日帰り入浴も申し出があれば入れるのだという。 

正直、これで商売していけるのだろうか? 

と思うのだが、廃業せずにいるのは、やはり「座敷わらし」が住み着いているからなのだろう。 

コロナが落ち着いたら、宿泊は無理でも日帰り入浴に行ってみたい! 

この時、撮影しなくて良かったと思う。 

それゆえ、「座敷わらし」に出会えたと思っている。 

だからこそ、ここで旅館名を出すのは控える。 

 

岩手県金田一温泉、「座敷わらし」に出会える場所がある。