つむじ風が吹く十字路の角にある「つむじ風食堂」を中心に、そこに集まる個性ある人達と主人公とのちょっとしたエピソードを描いた作品。
夜の静かな町で語られるあったかい話は、まるで大人の童話と言えるだろう。 
万歩計を「二重空間移動装置」、エスプレッソマシーンを「人工雲製造機」となずけるなど、時おり出てくるユニークな発想が夜の帳にちょっぴり刺激を与えてくれる。
  
この本を説明するのはとても難しい。

とりたてて大きな山場もなく、その食堂にまつわるドラマや心踊るような物語もなく、淡々とした日常が描かれているだけなのだが、これが面白い!
この本の一文からひも解くと…
「もし、電車に乗り遅れて、ひとり駅に取り残されたとしても、まぁ、あわてるなと。黙って待っていれば、次の電車の一番乗りになれるから…」
そう、こんな風に「ほっと」させてくれる。
読み終えるとほっこりとした気分になる。
誰もが寝静まった、静かな夜に読むのがおすすめ。