前回の箱館クリオネ文筆堂のキャラクター紹介から、さらに踏み込みまして…

今回は、松原みのりの物語となります!

キャラクター紹介から、湯の川温泉旅館の一人娘という事が分かったと思います。

では、松原みのりの物語をお楽しみ下さい。

箱館ストーリー「クリオネ文筆堂・松原みのり物語」

 

「尾崎先生、直美ねぇさん!いきなりで申し訳ないのですが、来週の土曜日の午後にお時間取れますか?」

松原みのりが神妙な顔つきで、2人に話しかける。

それは、文筆堂からの帰り道のことで3人がチャチャ登りを下ったところで、声をかけてきたのだった。

尾崎と野本直美は、お互いに目線を交わし野本直美が「大丈夫よ!」と返事をした。

一瞬ホッとした表情をした松原みのりは、直ぐにパッと顔を輝かせ「来週の土曜日の午後に家へ来てほしいのです!お母さんが会いたがっているので」と伝えた。

その場で3人は相談し、来週土曜日の午後2時に松原みのりの家に行くことになり、松原みのりは、そのままを母親に電話して伝えた。

タクシーを手配するという申し出を尾崎が断り、少し早めに尾崎と野本直美は市電で湯の川電停まで行き、「湯倉神社を参拝したい!」と尾崎が言うと、松原みのりはお礼を言い深々と頭を下げたのだった。

 

市電の十字街電停で松原みのりを見送った尾崎と野本直美は…

「松原さんは、湯の川に住んでいるんだね?」

「そうですね、尾崎先生。私も今日、初めて知りました」

「文筆堂のみんなは、あまり自分の事を言わないし、それにプライベートなことは聞かないしね。それが文筆堂の良さであり、お互いをリスペクトしているのだが…」

「ハイ!それはとても居心地の良いことだし、何よりお互いを尊敬し合う姿は素敵です」

尾崎と野本直美はお互いの顔を見つめ大きく頷くと、手を握り合いゆっくりと赤レンガ倉庫があるベイエリアへと歩き出した。

 

翌週の土曜日、尾崎と野本直美は湯の川行きの市電に乗っていた。

ゴトゴトと揺れる車内では、半数が観光客で2人は後部座席から車内の様子を眺めては、観光客が楽しそうにしている姿に目を細めている。

やがて、終点の湯の川電停では松原みのりが待っており、2人を出迎えて湯倉神社へと向かった。

 

湯倉神社を参拝した3人が石段を下りると、迎えのタクシーが停まっており助手席に座った松原みのりが運転手に囁くと、タクシーは湯の川温泉街へと進んで行き、ある老舗旅館の入口に停車した。

湯の川温泉旅館・波乃と書かれた紫地に白い筆文字、その暖簾が時より風に揺れている。

タクシーを降りて、松原みのりに案内されるままに玄関へと向かうと和服姿の美しい女性が待っており、尾崎と野本直美を見つめると一度目礼して美しい動作で正座し一番深い座礼をした。

突然の事で驚いた尾崎と野本直美だったが、直ぐに姿勢を正し深い立礼をしている。

 

そして、一番豪華な客間に通された尾崎と野本直美に、その女性は改めて自分は松原みのりの母親であり、この旅館の女将をしていると挨拶をして、娘への感謝の言葉を告げわざわざ2人を出向かせた事を詫びた。

自分が若くしてこの旅館に嫁いできたこと、その後に大女将の義母が亡くなり自分が女将として仕事を任されたこと、コロナ禍になり夫で松原みのりの父親が事故で亡くなり、旅館を廃業しようとしたら従業員に反対され、今こうして再び活気が戻ったことが告げられた。

 

「私が女将として任されてからは、この子には母親としての愛情も、親子として何かをしたこともありませんでした。何代も続くこの旅館と古くから居る従業員のみなさんを守らなければならなかったし、何よりお客様におもてなしする事が使命でした。コロナ禍で旅館は苦渋の決断として休業し一時は廃業も頭をよぎりましたが、給料はいらないからコロナが落ち着いたらお客様がいついらしてもいいようにしましょう!と、従業員の皆さんは毎日のように来て掃除をして温泉の管理をしてくれました。そんな中、私はこの子に私の後を引き継ぎ、この旅館の女将になれ!とは言えませんでした。だから、高校を卒業したら自分の好きなことをしなさい。自分のやりたい事を決めたらそれに向かって大学を選び、思うままに生きていきなさいと伝えました。父親を小さい頃に亡くし、母親は仕事にかまけて構ってくれない。それでも、悲しい顔は見せず私が厳しく接しても涙一つ流しませんでした。そんな中、野本直美様と尾崎先生との出会いがこの子に希望を与えてくださりました。そして《今は函館のことをたくさん勉強しているので、女将になるにはまだ時間がかかるのでしばらく待ってほしい》と、私に真剣な目でそう言いました。女将として母親として、これほど嬉しい言葉はありません。どうかこれからも、松原みのりをご指導してください。どうぞお願いいたします!そして、文筆堂の皆さんにも心より感謝の言葉を伝えさせていただきます」

最後には涙ぐみながら、女将で母親の松原ちなみと松原みのりは深々と座礼するのだった。

 

尾崎と野本直美は、深い感動の中にいた…

女将であり母親の松原ちなみの苦労と温泉で働く従業員との絆、そして一人娘であり小さい時に父親を亡くした松原みのりは、どんなに寂しい想いをしてきたのだろうか?

しかし、そんな事をおくびにも出さず、松原みのりは母親や従業員の背中を黙って見つめてきたのである。

母親に甘えることも出来ずに、健気にこれまで頑張って生きてきたのだ。

野本直美は、正座したまま少し前に出て尾崎を振り返り見ると、深々と座礼して口を開いた。

「女将さん!いえお母様、私がみのりさんの姉として、いつも寄り添い支えてまいります。もちろん、ここに居ります尾崎も一緒です!そして文筆堂には他にも、みのりさんの兄や姉がおります。決して、私たちはみのりさんに悲しい思いはさせません!女将さんや従業員の皆さんの苦労や亡くなられたお父様の事まで、みのりさんは理解しています。お母様の厳しいしつけも自分への愛情だと分かっています。きっと、みのりさんは私たちの後を引き継ぎ文筆堂や函館を、そしてご実家である旅館や湯の川温泉を、未来へと導いていくリーダーになるはずです。そのためにも、私たち文筆堂のメンバーはこれまで以上にみのりさんを厳しく指導していくことでしょう。どうか、みのりさんが女将になるまでは私たちの元に居ることをお許しください。私は尾崎と共に、みのりさんに私たちの夢を函館の未来を託したいと思います」

野本直美は、最後には大粒の涙を流しながら一気にそう言うと、また深々と座礼するのだった。

 

松の間にて行われていたやり取りだが、ふすまを隔てた廊下では漏れ聞こえる声にお茶を持って来た仲居と数人の従業員が声を殺して泣いていた。

若い仲居の女性が、早々にその場を立ち去ると、この事を伝え瞬く間に全従業員が知ることになり、「この旅館で働いて良かった!」と手を取り涙ぐみながらも全員が一致団結する意思を確認した。

女将の松原ちなみと松原みのりは、言葉も出せず「ありがとうございます!ありがとうございます!」と繰り返し言いながら何度も畳に額をつけていた。

「どうか、頭を上げてください。このままでは、何もお話ができません」

尾崎が2人に優しく声を掛けると、「女将さん!」と部屋の外から声がした。

ハッと我に返った女将の松原ちなみは、失礼しますと詫びてふすまを開くと、真っ赤な目をした仲居がおり「お茶のご用意が出来ました」と告げた。

 

テーブルの上には香りの良い煎茶と、千秋庵総本家の和フィナンシェが並べられた。

函館にある老舗和菓子店の千秋庵総本家が作り上げた、『あんとバターの和フィナンシェ』は、千秋庵総本家の要である自家製粒あんと、和菓子職人が作るバター香るフィナンシェ生地を合わせて焼き上げたお菓子である。

4人は、黙ってお茶を飲み和フィナンシェを食べていたが、尾崎が「これは、函館を代表するお菓子になるのではないか?これこそ和洋折衷、函館そのものを表している」と思わず口に出すと、野本直美と松原親子は大きく笑顔でうなずいた。

 

やがて、尾崎と野本直美は最後のお茶を飲み干すと、居住まいを正し女将であり母親の松原ちなみを見つめ、尾崎が口を開いた。

尾崎の優しい語り口からは、野本直美の出生の秘密が語られ、自分との縁や松原みのりを含む文筆堂のメンバー全員がこの事を知った上で、野本直美を温かく迎え入れてくれたこと、自分と野本直美が石川啄木の意思を継ぎ函館へ骨を埋める覚悟でいる事が語られた。

松原ちなみは、真剣な表情で尾崎の言葉を一語一句、聞き漏らさないようにと耳を傾けている。

やがて、尾崎の話が終わると黙って隣に座るみのりを見つめて、力強く抱きしめると晴れやかな笑顔を見せた。

 

「尾崎先生、野本直美様、お二人のことも文筆堂の皆さんのことも、みのりから詳しく聞かされておりました。野本直美様のお話も私は十分にご理解しておるつもりです。これまでの苦労も尾崎先生のご心配も、私たちは何度も話し合いました。私は、もし野本直美様と尾崎先生が岩手へ帰ると言うなら《一緒に連れて行ってください!》と、心よりお願いしなさいと、みのりには伝えました。もし今後、やんごとなき事情でお二人が岩手へ帰ることがあったら、私は《お二人に一緒に付いて行きなさい!》と言うつもりです。その時は、どうかこの松原みのりを実の娘として迎えて上げてください。そして松原みのりが函館に戻った時には立派に女将としてこの旅館を発展させ、従業員とその家族を守る事ができるでしょう。本日、こうして無理に来ていただき私が伝えたかったことでございます。尾崎様、野本直美様、何とぞよろしくお願いいたします!」

そう言うと、松原ちなみと松原みのりは、しばらく頭を下げ上げようとはしなかった。

尾崎と野本直美は、戸惑いながらも2人の意思を尊重し、その時は責任を持って松原みのりをあずかると伝えると、松原ちなみは安堵した表情で胸を撫で下ろした。

 

長居した事を尾崎が詫び帰ろうとすると、松原ちなみは「このまま松の間にて過ごしてほしい」と伝えた。

せっかくだからと、尾崎は感謝を伝え野本直美と一晩、ゆっくりさせてもらうと答えた。

自慢の温泉にて、尾崎と野本直美がゆっくりくつろいでいる間に、松の間には豪華な夕飯が用意されて2人の帰りを待っている。

やがて、松原みのりが考えたという『冬の蛍』が中庭にて公開された。

松の枝葉にたくさんの小さな電飾が散りばめられ光が点灯する様子は、夏に水辺を乱舞するホタルと変わりなく、時おりちらつく雪と冬に紛れ込んだホタルのような切なくも優しい輝きが、静かに聞こえる波の音と相まって幻想的な雰囲気を醸し出していた。

  

この時、松原ちなみから娘である松原みのりの名前について語られた。

「代々、松原家では女の子が生まれると、波がつく名前が女将となる証としてつけられておりました。でもこの子にはあえて波をつけなかったのです。それは、母なる海とは対象的に大地の実りから、みのりという名前にいたしました。将来、女将を継ぐプレッシャーにならないようにとの願いを込めました」

そういう松原ちなみは、女将としての顔ではなく表情も語る言葉も、松原みのりの母親となっていた。

 

先日の文筆堂で行われた『冬の七夕』からヒントを得たという、松原みのりが考案した『冬の蛍』は、やがて湯の川温泉の冬の風物詩としてクリスマス後から1月末まで開催される人気のイベント『雪の灯り 冬の蛍』になるのである。

そして、『冬の蛍』を楽しんだ尾崎は松の間にて函館の地酒を楽しみ、同じ部屋の別の間では野本直美と松原みのりが布団を並べ遅くまで語り合ったのだった…。

 

翌日、玄関先で全従業員が尾崎と野本直美を見送る中、女将の松原ちなみから「文筆堂のみなさんへ渡してほしい」とメンバー全員分の松の間への宿泊券が尾崎に渡された。

そして尾崎と野本直美には、いつでも何回も使える松の間への宿泊券が渡され…

「本来なら女将である自分が行って、文筆堂の皆さんへの感謝とお礼を言わなければならないのですが、女将としてこの旅館を離れることができず本当に申し分ありません。せめて仲居頭にでもお願いしたいのですが、みのりが旅館の娘である事をどなたも知らないとの事であり、この事は尾崎様の口から説明した方が上手くいくと野本直美様からご指示をいただきました。無礼極まりない申し出で大変恐縮ではございますが、どうか尾崎様にお願い申し上げるしか…」

この後の言葉を遮って、尾崎が女将と心配そうに見つめる松原みのりと従業員へ優しい笑顔を向けた。


「女将さん、そして皆さん!この度は心尽くしのおもてなしをありがとうございます。これまでよく旅館を守り女将さんを敬い、みのりさんを見守ってくださいました。文筆堂には、リーダーの栗生姉と私と野本直美を含め他に10名の仲間がおり、その中にはみのりさんと同じ高校生もおります。そんな個性あふれる仲間の中でも、みのりさんは一人だけ他とは違います。函館の未来を心配し、仲間を慈しみ、自分が早く成長しなければと常に思っています。大きな事を言うようですが、函館の未来はここに居る野本直美に掛かっていると誰もがそう思い信じておりました。本人もその事を自覚し、これまで苦労してきました。しかし、野本直美と共に、いや野本直美の後継者となる人物が文筆堂にやって来ました!その人こそ、松原みのりさんなのです。私たちは、まだみのりさんとはそれほど長い付き合いではないですが、会うたびに函館市民として成長する姿に感動しています。同じように、野本直美に惹かれ文筆堂にやって来る若者はいます!しかし、みのりさんは違う。自ら考え行動し同年代の若者を導く役目を担っている、それも自発的に。この行動力や考えはどこから来ているのか?ただ単に真面目なだけではない何かがある?と私は常々考えておりました。そして今日その答えを知りました。野本直美から松原みのりさんへと、これまでの点線のような想いがこれからは太い実線として真っ直ぐに伝わることが出来れば、松原みのりさんはお母様や歴代の女将さんを超える才能を発揮し、この素晴らしい旅館も湯の川温泉も函館の街も、輝く未来へと導いて行くことでしょう。私も野本直美もみのりさんの仲間達も、その未来を信じてみのりさんと一緒に歩みます。どうかみなさんも、これまで以上にみのりさんを見守ってあげて下さい!どうぞお願いいたします」

そう言うと、尾崎と野本直美は深々と頭を下げた。

やがて、「おぉー!」という歓声と共に大きな拍手があり、若い従業員たちは抱き合って涙を流していた。

 

尾崎と野本直美は、旅館の従業員一人一人と言葉を交わし握手をした。

最後に、尾崎が女将である松原ちなみから預かった宿泊券を大事に抱え、「文筆堂に戻ったら全員に今日のこの事を伝えて渡します」と約束をした。

そして、野本直美は松原みのりが考えたという『冬の蛍』をその時に披露することを提案した。

尾崎は大いに賛成し、栗生姉に伝えてメンバー全員を文筆堂に集め、『冬の蛍』を披露した後に自分が女将の松原ちなみの言葉を代弁すると約束した。

 

それから…

文筆堂のメンバーそれぞれが、湯の川温泉旅館・波乃を訪れ松の間に宿泊している。

・栗生姉は、奏太朗と桐山卓也と共に3人で宿泊し温泉を楽しみ、若い2人の恋の悩みに耳を傾け、やがて人生相談となり夜がふけるまで男3人による語らいが続いた。

・麻琴は、夫である亮介と一緒に宿泊し温泉に入りすぎてのぼせ、夕食を食べすぎて朝食を全部は食べられなかったと悔しがったが、お昼には「函太郎」宇賀浦本店へ行くと言い、亮介を困らせた。

・夏妃は、夫の康平と一緒に宿泊し海岸を散歩して温泉でゆっくりし食事を楽しみ、久しぶりにゆったりとした時間を過ごし、翌日は康平が行きたいと願っていた『月のしずく工房』を訪れた。

冬果と青田亜弓2人で訪れ、松原みのりと3人で松の間にて朝までおしゃべりが続き、3人の友情はますます強くなり、冬果と青田亜弓が話す恋バナに松原みのりが目を輝かせていた。

梨湖と柊二は2人で宿泊し、先に湯の川温泉街を視察し温泉組合にも訪問しており、湯の川温泉の観光ポスターやパンフレット等にモデルとして梨湖が選ばれた事を、松原ちなみに伝え、翌日は松原みのりと3人で、六花亭漁火通店を訪れている。

・尾崎と野本直美は再び湯の川温泉旅館・波乃を訪れ、女将である松原ちなみに贈り物を届け、松の間の床の間に安置されたそれは2体のオシラ様で、1体は男性の顔が彫られ、もう1体は女性の顔が彫られており、それぞれ松原みのりの父親と祖母にあたる大女将のオシラ様で、『遠野物語』にも出てくるオシラ様の神像は、遠野の伝統的な製法で特別に作られたものである。

 

END


こうして、松原みのりの人となりを知ることになった、今回の物語ですが…

これからも文筆堂のメンバー、それぞれの物語が始まります。

今回の物語は…

ぴいなつちゃんにお願いして、女将であり母親の「松原ちなみ」と旅館の名前「波乃」を考えていもらい、名前の由来も文中にそのままを使わせていただきました。

美蘭さんには、文筆堂のキャラクターの物語を書きたいと思うと相談し、行き詰まったところアドバイスをいただきました。

お二人共忙しいところ、私の無理なお願いを聞いていただき、ありがとうございました。

おかげで、第一弾となる「松原みのり」の物語が完成しました!

次回は誰が主人公になるのか?

どうぞお楽しみ下さいませ(^^ゞ

それでは、物語に出てくるテキストを参考までにあげておきます。  


・「湯倉神社」

 湯の川の小高い丘になる湯倉神社。

 1453(享徳2)年、負傷した木こりが休憩した場所に温泉を発見し、傷を癒してくれた沸き湯へのお礼に薬師如来を作り小さな祠を建てお祀りしたという湯の川温泉発祥の地。

 また1653(承応2)年に、松前藩第9代藩主高広が重病を患い悪化していく中、母親が夢に見たお告げに従いこの温泉で湯治したところ、間もなく全快し、このお礼に社殿を改造し、薬師如来を設置し鰐口を奉納した。

以来、この地域に暮らす人々の「心の拠り所」として長く崇敬され、湯の川の町を見守っており、地元の人だけでなくパワースポットとしても人気が高く、多くの観光客が訪れている。

市電「湯の川」電停下車・徒歩2

 

・「あんとバターの和フィナンシェ」

函館の老舗和菓子店「千秋庵総本家」が作り出した和洋菓子

 自家製あんと洋素材の融合をテーマにし、北海道産小豆を専門の職人が炊き上げる自家製の粒あんと、和菓子職人が作る洋菓子「函館ふぃなんしぇ」を融合させ、バターが香るフィナンシェとして焼き上げフランス産「ゲランドの塩」をアクセントとして使っており、宝来町にある店舗「千秋庵総本家」のみの限定販売品。

 市電「宝来町」電停下車・徒歩1

 

・「オシラサマ」

 東北地方に古くから伝わるオシラサマ信仰は、柳田國男の『遠野物語』(明治43)のオシラサマ伝説(馬と娘の悲恋の話)によって広く世に知られるようになった。

包頭衣(ほうとうい=頭から布をすっぽりかぶっているもの)と貫頭衣(かんとうい=首を出しているもの)の2種類があり、桑の木で神像が作られる事から養蚕(ようさん)の神様であるとされているのが、祀る家によっては農作業全般、眼病、女性の病気、良いことを知らせてくれる(オシラセ神)神様など、さまざまなご利益があるとされている。