「話があるの!」
と、彼女に連れられてやってきた、BEER BAR 山下。


彼女は、そっとつぶやくように僕に別れを告げた。
やがて長い沈黙を打ち破るように、彼女のグラスの氷が音を立てた。

その音を合図に、彼女が席を立った。


十字街にあるBEER BAR 山下は、昭和初期の洋品店を改装した店だった。

当時の雰囲気を残すバーで、僕はギネスの苦みに顔をしかめた。