本日は、平成生まれ(?)の、ぴいなつちゃんの誕生日です!

さて、何歳になったのでしょうね?

絶対に教えてくれませんが令和4年を平成に置き換えると…

いやいや、これ以上は言えません(^_^;)

皆さんで、おめでとうを言いましょう…

「ぴいなつちゃん、お誕生日おめでとう!」

さて、今回は美蘭さんの物語に続きまして、ぴいなつちゃん主人公の函館ストーリーを、お楽しみ下さい。


函館ストーリー「行き暮れて、行き着いて!」

最近、別れた彼をこの街で見かけるようになった…

一度、駅の待合室に入っていく姿を見かけたことがある。

その時、私はすぐ後ろを歩いていた。

あれから…

何度か、駅で彼の姿を見かけた。

でも私は、そのように彼の姿を見るのがイヤだった。

だから、私は駅に近づかないことにした。

彼と別れたのが、この函館駅だった。

5年前のあの日…

麻琴、何をためらっているんだ!一緒に行こう」

「でも…」

函館を出て友人と札幌でIT関連の事業を起こすんだ!だから、一緒に付いて来てくれないか?

「何度も言ったわ。私は函館を離れたくないの、ごめんなさい!

いいから、身ひとつで来てくれればいいんだ

亮介さん、あなたの夢を理解しようとしたけど、私には無理。ねぇ~別れましょう」

麻琴にプロポーズもせず、待たせたままで悪いと思っている」

私は、もう十分に待ったわ」

麻琴…でも誤解しないでほしい、結婚したくない訳ではない!もう少し時間が欲しいんだ、落ち着くまで分かってくれ…」

亮介さん!だから、もう終わりにしましょう」

分かった!麻琴、きっと迎えに来る。迎えに来るから…」

亮介さんは、最終の札幌行きの列車に乗り込んだ。

そして、2人の間に扉が閉まると、亮介さんはやさしい笑顔で私を見ていた。


駅からの帰り道、亮介さんの言葉を繰り返した…

麻琴、迎えに来るから…》

私は、いつまで待つのだろうか?

あと、3年?それとも、5年?

亮介さんの笑顔が風化するまで、待てない。

結局は、何も変わらなかった。

ただ疲れて帰って来ただけ…

玄関の鍵の音が大きく響いて、ドアを開ける手が震えた。

そして、私は1人になったのだと、その時に気づいた。

亮介さんの愛に行き暮れて、救い求めていたのは私だった。

疲れた時に見る夢は、あの日の亮介さんの顔だった。

あれから5年…

周囲の風景も少しずつ変わり、私の心も季節が巡るように変化していった。

そして私は今日、誕生日を迎えた。


もうすぐ、仕事が終わろうという時にスマホが鳴った。

麻琴、僕だよ!分かるかい?」

亮介さんからの不意な電話に、私の胸は熱く崩れた…

「分かるわ」

「ずいぶん待たせたね。約束どおり麻琴を迎えに来たよ!」

優しい亮介さんの声に、私は全身が素直になって行くのを感じていた。


「今、仕事中なの…」

「もうすぐ仕事は終わりだろ?そしたらスグに来てほしい」

「予定があるの…」

「今日は麻琴のバースディーだ!分かっている。みんなでお祝いしてくれるのだろう?」

「そうよ…」

「18:30のナイトクルージングを予約してある。それまでにブルームーン乗船ターミナルの前に来てくれないか?待っているから…」

「私、行かないわ」

「いや、麻琴はきっと来る!僕は信じている」


最後に私は、どう返事をしたのか、よく覚えていなかった。

声が、かすれてしまったから…。

17時の終業のチャイムが聞こえると、「急に用事が出来た!」と詫びて、メイクも直さず慌ててブルームーン乗船ターミナルのあるベイエリアへと向かった。


亮介さんは、ラッキーピエロ・マリーナ末広店の前でメニューを眺めていた。

私たちはデートの帰り、いつもこの店に立ち寄っていた。

「さぁ~お待たせ!熱い内にやろう」

亮介さんは、チャイニーズチキンバーガーがテーブルに運ばれてくると、いつも笑顔でそう言った。


会社からベイエリアまでの道を走り、流れる涙も乱れた髪もそのままに…

私は、思いっきり亮介さんの胸に飛び込んだ!

亮介さんは、笑いながらも今にも泣き出しそうな顔で私の顔を見つめると、力強くギュッと抱きしめてくれた。

《亮介さんの愛に行き着いて、離れたくない。素直な私の心を、抱きしめ続けてほしい…》

私は、心の中でつぶやいた。

18:30分、観光船ブルームーンは大きく旋回しながら沖へと進んだ。

海に浮かぶ月をモチーフにしたロマンチックな船体。

函館西波止場前の青い桟橋とガラス張りの待合室。

ブルームーンは乗船前の期待から乗船後の余韻まで、海を楽しむ一連の時間をドラマチックに演出してくれた。


亮介さん、私ブルームーンに乗るの、初めて!潮風が心地よいね」

嬉しい気持ちをごまかすように、私は沖へと進む船上からライトアップに輝く赤レンガ倉庫を眺めながら、精一杯の言葉を口にした

亮介さんは、遊覧船に乗ってもずっと黙ったままで私が言った言葉に笑顔で応えながら…

麻琴、結婚しよう!」

と、私の両肩に手を置き、そう言った。

この短い言葉を、きっと彼なりにドラマチックに演出したかったのだと、思う。

私は、亮介さんの顔をチラリと見て、大きく頷いた。

そして…

「もう、麻琴を離さない!」

と、亮介さんは口づけをくれた。


《私はきっと幸せ、誰よりも亮介さんがいればいい。何も望まない他には、亮介さん1人しか見えない!時がいくつ流れても、私は大丈夫。》

私は、亮介さんの胸に顔をうづめ、声にならないほどに愛しい気持ちを伝えた。

亮介さんは、私の涙をやさしく指で拭うと沖からライトアップに輝くベイエリアを指さした。

麻琴、函館で僕らの新しい生活を始めよう!」

いつもは見なれた風景も、沖から眺めると函館の夜景の美しさがより際立って感じた。



[END]



今回の物語の、テーマは「待つ」です。

主人公は本日、誕生日を迎えたぴいなつちゃんです。


物語の主役である「彼」と「彼女」の2人は、出会いからゆったりとした年を重ねる恋愛をしていましたが、いつの間にか別れが…。

これこそ、大人の恋だと思うのです。


主人公の「彼女(ぴいなつ)」は、ゆっくりと季節が巡るように…

やさしく微笑み、時には涙を流します。

でも彼女は、周囲には春のような素敵な笑顔で、流れる時間を過ごしていたと思います。


そして「彼」は、遠回りをして、ようやく「彼女(ぴいなつ)」のハートを射止めます。

しかし、これまでの「彼」は、「彼女」の知らない苦労の連続でした。

でも、片時も「彼女」の事を忘れず、「彼女」を迎えに行くのです。


待ち続けた「彼女(ぴいなつ)」と、待たせた「彼」の物語。

ラストは、ハッピーエンディング!

これしかないと思います。