白く尾を引く朝もやの中 石畳の坂道を上ってみた。

おとなしくて ひとりきりの私だけの空間…


まるで私は 静止した時間に紛れ込んだ訪問者のよう。

そして寝ぼけまなこの私に やわらかな朝の光が

何もなかったように差し込み 顔を照らし出す。


坂の上にある教会で 祈った。

「どうぞ誰にも内緒でいてね 心からの愛をあなただけに捧げるから」

函館の坂道は 私の胸の痛みを静かに静かに消してくれた。