ショートストーリー「かげふみ」
ショートストーリー「かげふみ」
亜由「はい!」
真衣「もしもし、亜由(あゆ)?私、真衣(まい)だけど…」
亜由「真衣、久しぶり!元気だった?」
真衣「もちろん元気だよ!こういう雨の土曜日なら、お家にいるだろうなって、ちょっと電話してみたんだ」
亜由「ねぇ、素敵な雨だと思わない?」
真衣「亜由って、相変わらずロマンチストね」
亜由「今、コーヒーを淹れているところだよ…」
真衣「雨の午後のコーヒー?」
亜由「そう、ハワイコナの良い豆が手に入ったの、それでね…。真衣~せっかくだから遊びに来ない?」
真衣「…うん、お邪魔しようかな?聞いてもらいたいこともあるし」
亜由「来て、待ってるから」
真衣「あっ、ケーキ買ってきたよ」
亜由「わぁ~美味しそう!はい、コーヒー」
真衣「ありがとう!う~ん良い香り」
亜由「でっ、どうしたの?真衣。急に電話なんかしてきて…」
真衣「ちょっとね!仕事、急に辞めちゃって~」
亜由「何があったの?」
真衣「自分が見えなくなったの。とにかく、自分がどうすればいいのか見当もつかなくて…」
亜由「ねぇ、真衣は何がしたいの?」
真衣「私?」
亜由「そう…」
真衣「私自身になりたい、かな…」
亜由「もう、充分になっているじゃない」
真衣「まだ、足りない、と思う」
亜由「何が?」
真衣「たしかに私は、私なんだけど、本当の自分というものが、もっとハッキリ見えてくるまで、まだ時間が掛かるというか…」
亜由「ほんとうの、自分?」
真衣「そう!本当の自分」
亜由「よく分からないけど、自分が見えないとか見つからないという事?」
真衣「う~ん…少しは、見つけてるかな?」
亜由「じゃあ~全ての自分が見つかったとして、それで終わり?その後、どうするの?」
真衣「自分自身に徹するの!」
亜由「自分自身?」
真衣「そう、自分になりたいの!本当の自分に」
亜由「自分になりたいって事は、他になりたいものがないということ?」
真衣「そうね、ないわ」
亜由「どうして?」
真衣「どうして!と言われても、まず自分自身にならなくては。例えどんなに凄いものになれたとしても、本当の自分でなかったら、それは楽しくないでしょ」
亜由「ん~よく分からないな…」
真衣「だから、自分自身になりたいの!あっ、コーヒーおかわり」
亜由「うん、ちょっと待って…」
亜由「ねぇ、自分は一生かけてコレをずっとやっていくんだ!って言うのが、真衣の前に見えてくるのは、もう少し後になるという事?」
真衣「少しは、見えているのよ」
亜由「どんなふうに?」
真衣「ちゃんとした人になりたい!いいかげんや中途半端、あるいは子供っぽいワガママな女、とかじゃなくって…」
亜由「なくって?」
真衣「最終的には、自分自身のために素晴らしい状態を手に入れたい!その為のとっかかりとして、まず仕事を辞めたの。でも自己中って訳じゃないよ!今は、自分のことに夢中なの。気持ちが、自分自身に集中しているの」
亜由「それは、真衣には良いことだと思うけど…」
真衣「そう、自分は何をやっていれば一番しあわせなのか?とか、どんな事なら一生続けて情熱的になれるのか?とか、そういう事がハッキリと分かったら、それは自分自身なの!だから、その自分に徹するの」
亜由「なんとなく、分かってきたかな…」
真衣「だって!そうでなかったら、何をやっても楽しくないし、本当の自分は、こうじゃないのに?とか。本当の自分は、こうしたかったのに?とか。こんなままでは人に迷惑がかかるでしょう?だから…」
亜由「ねぇ、女としての自覚はどうなの?」
真衣「女として?私が女であることは、絶対に変わらないけど、女だから!とか、女として!と、思うような事は、ないな~」
亜由「女として意識しないってこと?だって周りが黙っていないでしょ?」
真衣「でも自分を女として意識したら、落とし穴にはまるわ」
亜由「それ、どういう意味?」
真衣「女だからとか、女としてとか、そんな事をいつも考えていたら、自分にとってそれが一つの強い枠になってしまう。枠の中でしか動けなくなるような気がするの」
亜由「………」
真衣「女の体や生理は変えることができないけど、頭の中では女であるより先に、まず自分なんだって事よ」
亜由「真衣の言うとおりに生きていけたら、それは女として最高だと思うな」
真衣「そう、これから何歳まで私は生きるのか?自分自身にも分からないけど…だからこそ、そうしたいの」
亜由「走り始めたってわけね?」
真衣「ゴールが何なのか?ゴールまでのルートがどんなふうなのか?まったく分からないけど、もうとっくに走り始めている。とにかく前に向かって走りたいの…」
亜由「ほんとうの自分を見つけるために?」
真衣「そうね…かげふみ、みたいなものなのよ」
亜由「先にある自分の影を追いかけて、でもまだ届いていないってこと?」
真衣「だから、自分自身の影を追いかけ走りはじめた自分に、今は夢中なの」
亜由「なるほどね~」
真衣「そう、うまく言えないけど、これが私の正直な気持ち」
亜由「真衣は、これから先にある自分の未来に向かって走り続けるのね?」
真衣「うん、まだ先は長いと思うけど、話を聞いてもらったらスッキリした…」
亜由「がんばってね」
真衣「ありがとう!亜由も幸せになってね。あなたもあなたの道を走ってね」
[END]
今回の物語、『かげふみ』は、楽しんでいただけましたか?
主人公は、真衣という女性です。
真衣と亜由、2人の女性のみの会話で物語が始まり、そして終わります。
名前や2人の女性の設定は、ぴいなつ先生に監修をお願いしました!
・主人公の真衣は、なんか突き進んでいく強さがあるなーと。
・コーヒーでもてなす亜由は、聞き上手で、もてなし上手。
そんなイメージでーす。
と、返事をもらいました。
長い人生の中には、幾つかの“節目”(ターニングポイント)があります。
学生という、一つの節目を終え社会の一員となり学び生活をして恋愛をしていく中で、また新しい節目を迎えます。
やがて、女性は年齢を重ねていくうちに、女としての魅力を高度に洗練させ美しくなっていくのですが、これからの節目は一つの分疑点であり、最終的な判断を下すのは自分自身なのです。
主人公の真衣は、やがてやってくる節目に向かって、自分の置かれている立場を自覚し成長していこうと模索し始めるのです。
主人公の女性と同じく、女性の皆さんは、さまざまな節目を経験しておられるでしょう。
そして、これからやってくるであろう新しい節目に向かって…
どうか「あなたも、あなたの道を走ってください!」。
《「だって!そうでなかったら、何をやっても楽しくないし、本当の自分は、こうじゃないのに?とか。本当の自分は、こうしたかったのに?とか。こんなままでは人に迷惑がかかるでしょう?だから…」》
返信削除このセリフ、すっごくわかるなー!
すきだなーっ!って思った^^
自分の人生を、人のせいにしたくない
って、わたしもいつも思っていて
だから、すごく共感できるストーリーだった!!
あるときは、真衣
またあるときは亜由みたいに
オンナって、人生の中で七変化する気がする
強く突き進んでいける時期もあれば
ちょっと弱腰になって受け身になるときもある
波があるよねーっ
クリオネ先生は、見事に女性の節目を
会話劇にて表現している!!
わたしは、どちらかと言えば
亜由みたいに聞き役にまわるほうだけど
真衣の言うことにも凄く共感できた
2人のどちらとも仲良くなれた
そんな気がして、まるでわたしも
2人と一緒にコーヒーとケーキで
おしゃべしていたような錯覚に陥っていた^^
そのくらいリアルだった!
節目を迎えるたびに
読み返したい、深いストーリー!!
名前をつけさせてもらえて
ぴいなつは嬉しかったでーす^^
かげふみ、、、なるほどなぁ
タイトルもさすがですねぇ〜クリオネ先生^^
ぴいなつちゃん
返信削除この物語の原作は、僕が大学生の時に書いたもので、後輩の放送部からの依頼で書いたラジオドラマの脚本を、物語にしたもの。
当時のタイトルは「ターニングポイント」で、高校卒業間近の主人公の家へ、かつて同級生で妊娠中退した女の子が遊びに来て、主人公が高校卒業を1つの節目として捉え、大人への階段を上る決意を示すという内容だった。
後輩たちは、自分たちなりに理解し熱演したが、テーマが難しかったようで入賞とは至らなかった。
そこで、新しく「かげふみ」というタイトルを付けて、その意味を含む形で物語にした。
基本的な内容やセリフは当初から変わっていなくて、僕には珍しく既に完成された作品となった。
今回は、ぴいなつ先生に名前の監修をお願いしたところ、名前だけでなくそれぞれの主人公の特徴が書かれていて、原作とは180度違う物語に生まれ変わった!
物語にした時は、相手が高校中退という女の子だったが、そういう設定を外したので、ただ2人の女性が会話をしているだけの物語とり、節目(ターニングポイント)というテーマが宙ぶらりんとなっていた…。
今回のぴいなつ先生の監修により、この物語は本当に完結したのだと、感慨深い。
ぴいなつ先生、どうもありがとうございます!
こんばんは。
返信削除若い!ということは、
本当に輝かしいですね!
悩むのも迷うのも
意味のあることですね!
ハワイのコナコーヒー
どんな味だったかな~?
飲みやすい味だったように記憶しています。
らんらんみらん
おはようございます。
返信削除クリオネさんにお願いがあります。
セリフの頭に、真依(さん) 亜由(さん)をつけて欲しいです。
同じ人が続けてのセリフもありますよね~???タブン???
ごめんなさい。どうも頭の中で、絡まってしまって、。。。
美蘭さん
返信削除節目というのは、年齢に関係なくあるものです!
どのタイミングであるのかは、個人差があると思いますが、人生100年と言われる今の時代では、美蘭さんはまだ折り返ししていないでしょうから、アオハルもまだまだこれからですよ。
自分のやりたい事をやる時は、誰もが少年少女だと、僕は思っています(^^ゞ
美蘭さん
返信削除読みづらかったですか?
申し訳ないです。
僕の文章力があれば、読みやすくなると思いますが、この通りの下手くそでして。
読んでいただき申し訳ないです。
できるだけ早く、セリフ前に名前を付けます!
ご指摘、ありがとうございました。
わがままな お願いで、ごめんなさい😵💧
返信削除お時間のある時で、いいんですよ。
感謝です🍀
クリオネ先生、放送部の方々に頼りにされていたのですねー!
らんらんみらん
まいさんと あゆさんの文字の色分けを
返信削除していただけたら、
頭に名前がなくても、大丈夫ですよ🍀
らんらんみらん🌸
寒い季節、ご自愛くださいね( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
美蘭さん
返信削除昼休みにスマホで、直しました(^^ゞ
たぶん、大丈夫でしょう。
あっ!忘れていました。
ハワイコナは、酸味が柔らかな少し苦いコーヒーだったと記憶しています。
飲んだの、2回だけでしてf(^_^;
でも、ハワイらしい素敵なコーヒーです!
ありがとうございます!!
返信削除貴重なお昼休みに、・・・感謝デス❤
とっても、わかりやすくなって、よりリアルになりましたよ^^
さっき、買い物に行ったとき、コナコーヒー探してしまいました。
コナコーヒーはありませんでしたが、お昼にコーヒーを飲みましたよ。
ありがとうございます。
美蘭さん
返信削除アドバイザーとしてのお役目、ありがとうございます!
こるからも、悪いところはビシバシと指摘して下さい。
ハワイコナは、あまり見かけませんね…
あまり出回らないとは、聞いたことがあります!
できました~!!
返信削除また、連絡しますね。
https://youtu.be/R30JZdImWkk
返信削除よろしくお願いします。
🌸 🌸 🌸
美蘭さん
返信削除まさか…
朗読してもらえるとは、思ってもみませんでした!
もう、ビックリです(*´∀`*)
地球を3周回ってもいいですか?
ありがとうございますm(_ _)m
こちらこそ、感謝です!
クリオネさん♪
返信削除おはようございます。
ありがとうございます°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
ぴいなつ先生の「月の雫、月の鏡」と同時並行でしていこうと思いました。
ただ、途中で挫折していまうことも今までにあったのです。
誰のセリフかわかることで、よりスムーズにできました。
ありがとうございました。
美蘭先生
返信削除この「かげふみ」は、ラジオドラマの脚本を物語にしたもので、会話だけで物語になるのか?という、自分にとっても実験的な作品となりました。
まして、女性のみの会話ですからセリフの言葉尻などは、男の僕には難しいもので原作は後輩たちが直したものをそのままに使いましたが、今回は自分なりに今の女性ならこういう感じかな?という想像で、セリフを見直しました。
本当はぴいなつ先生に全ての監修をお願いしようと思いましたが、仕事も忙しそうだし名前だけお願いしたら、忙しい最中にキチンとそれぞれの個性まで考えてくれて、おかげでこの物語も完成しました。
原稿では、真依と亜由は逆の立場だったのですよ!
さらに、美蘭ん先生のアドバイスにより、それぞれの会話の頭に名前を付ける事により、物語はより理解しやすくなりましたね、ありがとうございます。
このように、僕は文章も下手くそですから、美蘭先生が朗読する時はセリフなどを直していただきたいのです!
ここでの物語は、ぴいなつ先生と美蘭先生のアドバイスにより作品として完成していきます。
そうそう、掲載直後にはぴいなつ先生により校正があり、手直しをしています。
今回も、校正により掲載後に訂正しました。
美蘭先生も遠慮なく、問題点を指摘して下さい。
文筆堂は、ぴいなつ先生と美蘭先生の作品を紹介する場所でもあるのですから。
今後とも、ヨロシクお願いします!
ありがとうございます( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
返信削除おやすみなさい🌸
らんらんみらん