今回、函館ストーリー「Winter again…」をぴいなつ先生に監修してもらい、改めてここに再掲載といたします。

前作は、詩(ポエム)であり漠然とした設定のまま、冬の函館が印象的な描写に心がけました。

そして、美蘭先生のリクエストにより「僕」と「彼女」という表現から、ぴいなつ先生にそれぞれに名前を付けて、新しく物語として内容を膨らませてもらいました。

それでは、新しい「Winter again…」の物語を、お楽しみ下さい!


 函館ストーリー「Winter again…」


僕は 自分自身と向き合いたくて この街にやって来た。
函館は 一面の雪景色…
 
降り積もる雪が 悲しみや胸の痛みを静かに消してくれる。
「大丈夫、急ぐ旅ではないのだし…」
僕は 雪景色の函館山に向かい そう呟いた。
 
雪が激しさを増し 早めのチェックイン。
電話線が凍らない内に ホテルの部屋から彼女に電話をした。

「あ、有美?いま大丈夫?」
「うん、大丈夫だけど…政樹いまどこ?スマホは繋がらないし、家に電話したら留守電だったけど…」
「じつは函館に来てるんだよ。ちょっと思うところがあってね。たまには一人旅もいいかな、なんて、スマホを家に置いてきたよ」
「えーっ!函館〜?いいなぁ…一緒に行きたかったけど………我慢する」
「ごめんごめん。なんかさ…こんな風にスマホでなく電話で話してみたら、昔のドラマの遠距離恋愛みたいだね」
「たしかに…なんかちょっと新鮮かも」

僕は 有美に好きな詩を朗読してくれるように頼んだ。

しんしんと降る雪 鳴り響く教会の鐘の音。
雪と風と空気の静寂の中で…
有美の美声は 淡い初雪のように温かく甘い感じがした。