青森県にある、恐山の話である。 

大学時代に、友人が話してくれたのだが…。


次の日曜日に、どこかに遊びに行こう!などと話をしていたときだ。

一人の友人が、「その日は用事がある!」と言い出した。

「家族で恐山に行くのだ」と言う。 

極楽湖

『恐山の奥にある湖(極楽湖)の前に立ち、亡くなった人の名前を言うと、その人が湖面に立つ』と、彼は不思議な話を始めた。 

これは、会いたい故人の命日の日に、その湖に向かい名前を呼び念じるのだという…。

「恐山で会ったイタコさんが教えてくれた」そうだ。

「その日は、叔父さんの命日なんだ、悪いな」

 彼は、そう言って謝った。