幼い頃、両親に捨てられ東京の児童養護施設で育ち生活する高校生の李理香の許に、一通の手紙が届く。
差出人は、李理香と同じ両親に捨てられた経歴を持つ、函館に住む23歳の基次郎という男性だった。
「自殺を繰り返す李理香の良き相談相手になってほしい」と李理香の養護施設の先生に依頼され届いた手紙がきっかけで、二人は文通を始める。
そこで二人は、文通だけの付き合い、一生会わない、心の内はすべて打ち明ける、という約束をする。
虐待が日常茶飯事に行われる養護学校で誰も信用できない、愛されることを知らず育った李理香は、これまで一人で我慢してきた心の内を次々と基次郎に書いていく…。

往復書簡(手紙)だけのやりとりで、物語は進んでいく。
いつしか恋人のような存在になっていく二人だが、そこに待ち受けていたのは過去の事実だった。
やがて基次郎からは「僕はいつも君のそばにいるよ。」という最後の手紙が届く。
その意味を知った李理香が、手紙で取り乱すところが悲しく切ない。
絶対に人前で読んではいけない!、本である。
どれだけ涙が出るのか?というくらい、涙腺が崩壊する。
だからこそ、読み終わった後には温かい気分になる。
愛について、そして命について、深く考えさせてくれる名作である。